第3回「身近なムシの観察術お教えします」 開催報告

2004/08/07


 郡山市ふれあい科学館では福島大学と連携し、福島県内の小・中学校及び高校の教員向けの研修講座「サイエンスセミナー 身近なムシの観察術お教えします」を、平成16年8月3日(火)に開催しました。

 今回の講師は、福島大学 塘 忠顕(つつみ ただあき)助教授です。当日は、市内外から6名の先生方に参加いただきました。ダンゴムシ、テントウムシ、カニムシ、クマムシ、カブトムシ、ゾウリムシ・・・、さて今日登場したのはどんなムシだったのでしょうか?

 塘(つつみ)先生は、当館の講座に2度目の登場です。

 片方の靴で地面を踏んだとき、そこにはどんな種類のムシがいるでしょうか。

 土壌生物を調べると、住んでいるムシの種類の多さから、その地域の自然環境を調べることができるのです。

 では早速実習です。土の中にいる動物の標本を作ってみましょう。試料はアリとハエです。

 本来はムシを脱色、洗浄、脱水などしてから仕上げに入ります。この行程は時間がかかるため、既に済ませておきました。松脂(まつやに)が主成分である「カナダ・バルサム」をスライドガラスにたっぷりとのせ、そこにアリやハエをのせ、埋め込み、見たい姿に形を整えます。

 出来上がりはこんな感じです(これは塘先生作)。

 色は抜けているし、形も面白いし、見ていて迫力もありますね。

 今回は、もっと簡単なプレパラート標本の作り方も教えていただきました。

 使用する封入剤は「MX」、蝶の羽のリンプンの上に一滴たらして、カバーガラスをかかけます。出来上がりは写真のとおり。翅脈(しみゃく)もはっきり見えます。

 続いての実習は「最強」といわれる「クマムシ」探しです。

 クマムシは体長約0.5mm、4対の足を持ちヒマラヤの山中から海の底にまで生息しています。

 陸生のものはコケ類にいます。コケを水に浸して、クマムシ探しの始まりです。

 クマムシは次のような過酷な環境でも生き延びるそうです。
 (1)強度の塩水100度に入れて6時間  
 (2)150度でも10分以内
 (3)液体ヘリウム(-271.5度)に8.5時間
また、他にもビックリすることばかりです。

 ある博物館では、乾燥状態で120年間も保存されていたコケの標本に水をたらしたら、動き出したそうです。クマムシは周囲が乾燥状態になると、自ら体内の水分をほとんど出して樽のような形になり、仮死状態(乾眠)になるのだそうです。

 そんな話を聞けば、先生方もクマムシ探しに必死です。

 しかしどういうわけか、現れてくれません。そうこうしているうちに終了の時間が・・・。今回は、見つけられなかったのかな!?

 塘先生のまとめのお話が終わった直後でした。「見つけたっ!」、一人の先生がとうとう見つけてくれました。

 この方法で何処でもできるそうなので「学校でやってみよう!」という声と、満足そうな先生方の表情で講座は終了となりました。

 塘先生、ありがとうございました!