【開催報告】平成21年度 おもしろ科学びっくり箱

第4回「食べない油を燃料にするシステムについて」

 郡山市ふれあい科学館では平成21年11月19日(木)に、福島大学との連携事業「おもしろ科学びっくり箱」を開催しました。

 今回は、共生システム理工学類 教授 佐藤 理夫(さとう みちお)先生をお招きし、「食べない油を燃料にするシステムについて」をテーマに開催いたしました。

 

 講師の佐藤先生は、製造プロセス工学・化学工学が専門分野で、大学では畜産廃棄物の資源化や食用油脂の燃料化など、環境に優しい製造技術の研究を行っています。

 講演では、使用済み食用油からディーゼル燃料をつくる過程を、実際に体験していただきました。まず、使用済み食用油にカリウムメトキシドという薬品を加えてよくかき混ぜます。しばらく続ける必要があるため、かき混ぜる作業を機械に任せて、その間にバイオディーゼル燃料(BDF)について、特徴や問題点、現状の課題などについてお話いただきました。


 しばらくかき混ぜたことで、食用油からグリセリンという成分が分離しはじめました。分液ロートという器具にうつしてしばらく待つと、重いグリセリン成分が沈み、ディーゼル燃料になる部分と分かれてきます。その間、今度は植物からではなく、動物の脂肪からつくるBDFについて、お話いただきました。動物の脂肪は常温では固体になるため、そのままだとBDFも固体になってしまい、ディーゼル燃料としては使えないそうです。

 ディーゼル燃料とグリセリンがほぼ分離したところで、グリセリン部分を取り除き、残ったディーゼル燃料を水で洗って不純物を取り除きます。水と油の比重の違いと不純物が水に溶けやすいことを利用して、少しずつディーゼル燃料をきれいにしていきました。自分の油がきれいになっていくので、参加者たちは夢中になって取り組んでいたようです。

 今回は日常ではあまり行わない実験主体の講座ということで、参加者の関心も高く、積極的に質疑応答が交わされました。廃棄されるものからエネルギーを取り出す今回の技術は、まだまだ課題もありますが、少しずつ実用化され始めています。今後の技術革新によって広く普及する日が楽しみですね。

 佐藤先生ありがとうございました。



使用済み油からディーゼル燃料をつくる実験の様子


講演に熱心に聞き入る参加者の様子