郡山市ふれあい科学館では、国立天文台との共同で「君が天文学者になる3日間at郡山」を平成21年3月20日(金)〜22日(日)に開催しました。
「君が天文学者になる3日間(略称:君天)」は国立天文台が毎年行っている高校生を対象とした天体観測実習です。高校生が数人でチームを組み、研究テーマ決めから、観測、データ解析、研究発表までを高校生が主体的に取り組むことが特徴です。この君天の地方版を、「ほんとの空」があると言われる福島の星空の下、初めて郡山で行うことになりました。
今回は作文審査などで選ばれた高校生9名が参加をしました。福島県内をはじめ、遠くは大阪や栃木からの参加もありました。
緊張した雰囲気の中、「君天」の始まりです。開会式では、郡山市ふれあい科学館長の佐藤秀一(写真左)と、国立天文台天文情報センター普及室長の縣秀彦氏(写真右)より挨拶がありました。
その後、高校生は4人チームのA班と5人チームのB班に分かれて、研究テーマを決めます。とは言うものの、お互いが知り合ったばかりの初対面です。最初は会話が進まない場面もありましたが、大学院生のスタッフたちがうまく誘導することで、だんだんと打ち解けてきたようです。それぞれ高校生たちで取り組みたいテーマが出始め、どちらのチームも悩みながらも、全員で納得がいくまで研究テーマについて話し合い、決めました。
研究テーマが決まったところで、いよいよ観測実習です。観測をするために、科学館から青少年会館へ移動します。郡山市の郊外にあり、とてもきれいな星空が残っています。国立天文台から来た天文学者も、普段東京で見ている夜空とは違って、非常に星がよく見えると言っておりました。夜になり、15.2cm屈折望遠鏡と冷却CCDカメラを設置して、天体観測を行います。
当日の夜は天気はよかったものの、風がとても強くて寒い夜となりました。それでも高校生たちは夜遅くまで観測をし、自分たちの調べたい天体を撮影しました。
無事に天体の撮影が成功すると、日中はパソコンや文献とにらめっこしてデータ解析と研究のまとめを行います。
昨夜撮影した天体のデータを専用のソフトを使って、高校生たちが解析を行っています。そして、出てきたデータから、その背景にある科学を導き出していきます。
議論は白熱し、夜遅くまで行われましたが、高校生たちは、スタッフと協力しながら、自分たちの研究結果をまとめていました。
いよいよ実習の最終日。最後はこれまでにまとめた研究を発表する研究発表会が科学館で行われました。
A班の研究テーマは「木星と土星はどうして恒星になれなかったのか」、B班は「連星の出来方を探る」です。それぞれ、自分たちの成果を堂々と発表していました。発表会には、高校生の家族や、学校の先生なども参加していただきました。
質問も多く出ましたが、高校生はそれぞれの質問に対しても自分たちの考えをしっかりと述べておりました。
研究発表会の最後には、国立天文台の浮田信治先生から総評がありました。
「どちらの班も天文学者に負けないくらい研究を行いました。よくがんばりました。」とのコメントがありました。
そして最後に、館長の佐藤秀一より参加者一人ひとりに修了証書が授与されました。開校式のときには、不安な表情だった高校生たちも、最後には満足した表情で修了証書を受け取っていました。
高校生を含め、スタッフのみなさんも3日間夜遅くまでおつかれさまでした。高校生のみなさんはかけがえのない経験ができたと思います。この研究も終わりではありません。たくさんの課題もありました。これからもぜひ研究を続けてみてください。その時は科学館が支援していきます!
今後もこのような実習を開催しながら、県内を中心とした高校生に参加していただき、高校生の指導にあたるスタッフとして東北大学など近隣の大学と協力することで、当館を拠点として大学などの研究機関と高校生とをつなぐことを目指していきます。