糸電話
〜いろんな物で作ろう〜

2003/04/11


 

 糸電話といえば誰でも一度は手にしたことがあるおもちゃですね。作ったことがない人でも、見たことくらいはあるのではないでしょうか。

 糸電話は、紙コップと糸を使ったものが定番です。でも、それだけではありません。音を伝える糸を別な材料に置き換えるだけで楽しく、たくさんの糸電話が出来上がるのです。最近は身の回りに生活のためだけでなく科学の実験にも、とっても役に立つものがたくさんありますので、材料をいろいろと工夫してみましょう。


いろんな素材で作った糸電話

 今回紹介するのは次の5つです。(1)荷造り用のビニールひも (2)細長ゴム風船 (3)エナメル線 (4)金属のバネ (5)竹筒を使った糸電話です。

 さてここで問題です。この5種類の材料を使った場合、きちんと相手に声が伝わるのはどれでしょうか?

 お聞かせできないのが残念ですが、実は全て声が伝わるのです!

 ビニールひもはピンと張ることができれば弱々しいのですが声は伝わります。

 細長ゴム風船は、その両端に底をくりぬいた紙コップを差し込むだけですが、よく聞こえます。風船が曲がっていても声が伝わるので驚きです。これは風船の中を空気の振動が伝わっていくためです。簡単ですのでぜひ作ってみましょう。

 次はエナメル線電話です。これはなんとも表現しがたい音なのですが、高く金属的な音がします。このエナメル線をピンと張らずに、線をたるませてみましょう。なんとそれでも音が伝わるのです。他の材料と異なり、金属は音の原因となる振動を伝えやすいため、張らなくても音が伝わるのです。

 さらにこれを応用して、金属線のかわりにバネをつないでみましょう。話をすると、まるで温泉に入っているように声が反響します。


糸電話で会話してみよう

 

 ここで糸電話の歴史をひもといてみますと、糸電話が初めて本で紹介されたのは1665年のロバート・フックの「ミクログラフィア」という本で、金属線を用いたものだったそうです。やがて日本に伝わった糸電話は、明治初期のころは金属線だったものが、その後教育用として安く作ることができるように木綿糸が使用されるようになったそうです。

 100年前の日本の糸電話は竹の筒に和紙を張ったものでした。この糸電話は紙コップと違い、竹が外の音を遮断しているために驚くほどよく聞こえます。ちなみにこの糸電話は郡山出身の石井研堂が明治時代に著書「理科十二ヶ月」の中で紹介したものです。

 以上のように糸電話一つをとってみても、地域性や各時代の技術や生活様式などが色濃く表れています。そしてそれは自然科学全般についてもいえることでなのです。

 紹介した糸電話は科学館21階の展示ゾーンで自由に体験できます。ぜひ来館されていろいろな糸電話をお楽しみください。

 
 

(事業課展示情報係 岡田 努)

 

2003年4月10日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より