空飛ぶタネ
〜模型を作って試そう!〜

2003/06/12


 

 今回紹介するものは、展示ゾーン入館者を対象として、日曜日と祝日に行われている科学工作教室の「自由工房」の中から、6月のメニュー「たね!種!タネ!」です。

 このワークショップでは、コピー用紙のような薄い紙とクリップを使って、いろいろなタネの模型を作ります。タネの種類によって形や飛び方はさまざまです。その中から日本には生息しない「アルソミトラ」という植物のタネについて紹介します。

 


いろいろなタネの模型とアルソミトラの実物

 「アルソミトラ」はインドネシアなど東南アジアに生息するメロンやスイカのようなウリ科の植物です。サッカーボールくらいの実で、その中に薄い翼を持ったタネが300〜400枚入っています。実が熟すと穴が開いて少しずつ飛んでいきます。

 「アルソミトラ」のタネのすごいところは、翼を使って、数百メートルも飛ぶことができることです。このタネをヒントにハンググライダーも作られたといわれています。

 「アルソミトラ」のタネの模型をつくるには、ハンググライダー型の型紙をはさみで切り抜き、点線に沿って左右対称になるように折るだけです。最後にタネの代わりとなるクリップを中心につけて出来上がりです。

 

 飛ばし方は、クリップの反対側を持ち、腕を上に真っすぐ伸ばしてそっと離すだけです。ふわふわと不思議な動きをして飛んで行きます。薄い発泡スチロールでも飛びますので、いろいろな物で作ってみましょう。工夫しても良く飛ばない場合は、科学館に遊びに来て、よく飛ばすためのコツをスタッフに聞いてみましょう。

 今月の自由工房ではこのタネを使って、だれが遠くまで飛ばすことができるかコンテストを行っています。紙を折る角度によっては、右に曲がって飛んだり、左に曲がって飛んでいったりします。大人でも真っすぐ飛ばすのは難しいので、折り方の工夫が必要です。

 今回は「アルソミトラ」のタネを中心に紹介しましたが、タネはその種類によって、風に運ばれるもの、自分ではじけてばらまかれるもの、水に流されて運ばれるもの、動物や人間に乗って運ばれるものなどがあります。もし大きな木の下にタネが落ちたなら、芽が出ても日当たりが悪いので、成長できないでしょう。植物はさまざまな工夫をして、タネを遠くに移動させる方法を身につけています。とても賢いですね。

 身近に咲いている花や木のいろいろなタネについて調べてみると新しい発見がたくさんあり、おもしろいですよ。

 
 

(事業課展示情報係 柳沼 博幸)

 

2003年6月12日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より