ゲェーロッパの秘密
〜道ばたに咲く「オオバコ」 たくましい生命力〜

2004/06/10


 ゲェーロッパ、カエロッパ、マルコバ、オンバコ、これらはすべて同じ植物の名前です。その植物とは日本全国の道ばたや庭先などでよく見かける「オオバコ」です(写真[1])。

 子どものころ、花穂をからませて引き合う「相撲取り遊び」をしたことがある人も多いのではないでしょうか。漢字で「大葉子」と書く通り、葉が広く大きいことから名付けられました。

 オオバコ科の多年草で、4月から9月に白色の花を咲かせます。今回はこの「オオバコ」のひみつを紹介します。

 


[1] オオバコ

−花の中でバトンタッチ−
 オオバコの花は、めしべを先に出し、それがしおれるとおしべが伸び花粉を出します。これは、ほかの花から花粉をもらうための工夫です。こうすることで、自分にない性質を取り入れることができ、さまざまな環境に適応しやすくなるのです。

−種はベタベタ−
 種は通常、さらさらな状態ですが、水分を得るとべたつき、野生動物や人の足の裏、自動車のタイヤなどにくっついて、遠くへ運ばれます。1本の花穂からおよそ2,000個もの種ができるオオバコは、こうして低地から山まで仲間を増やしていくことができるのです。

−オオバコ健康法−
 昔から薬草としても知られるオオバコは、下痢止め、せき止め、利尿、健胃、歯痛止め、腫れ物などに効果があります。最近では、オオバコの仲間から取り出した水溶性の食物繊維を利用したダイエット食品も売られています。

 

−踏まれても大丈夫−
 オオバコをよく見かけるのは、人や動物がよく通る道ばたなどです。このような場所では背の高い植物は人や動物に踏みつけられ枯れてしまいます。では、なぜオオバコは大丈夫なのでしょうか? そのひみつはオオバコの体の仕組みにあります。

 オオバコの茎は短く、土の中にもぐっていて、根や葉もとても丈夫にできています(写真[2])。ですから人に踏みつけられてもたくましく生きていくことができるのです。オオバコのように、踏みつけなど外からの力に強い植物を「撹乱依存種(かくらんいぞんしゅ)」といいます。

 しかし、人や動物が通らなくなり、周囲が背の高い植物に囲まれてしまうと、オオバコは十分な光を得ることができず枯れてしまいます。

 さて、今回はオオバコについて探ってみましたが、植物にはまだまだ私たちの知らない多くのひみつがあるようです。皆さんもぜひ、身近な植物のひみつを見つけてみてはいかがでしょうか。


[2] 茎と根

 
 

(事業課 遠藤 史貴)

 

2004年6月10日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より