音の不思議
〜実験で確かめてみよう!〜

2005/10/20


  世界の発明王エジソンが蓄音機を発明してから120年余りたち、現在はコンパクトディスク(CD)やデジタルオーディオの普及によって音楽などを聴くことが日常的になりました。

 皆さんの中にも音楽が好きな方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、音楽の基になっている「音」についてお話ししたいと思います。

 皆さんの周りにはテレビから聞こえる音、車の音、足音などたくさんの音があると思います。これらの「音」は空気を振動させて私たちの耳に伝わってきます。

     


【図1】正弦波

 それでは、ここでマイクを使って「音」の実験をしてみましょう。マイクを2本用意し(仮にマイクAとマイクBとします)マイクAは普通に接続し、マイクBは極性を逆にした接続をします。マイクA、Bそれぞれで声を出してみるとスピーカーから声が聞こえてきます。次にマイクA、Bを同じ音量に調整し2本のマイクをくっつけて持ち、その中心で声を出しながら2本同時にボリュームを上げます。すると不思議なことに音量がすごく小さくなるではありませんか!

 

 この現象はマイクAとBの極性が反対になっているために、音の位相が反転し、それぞれが音を打ち消し合ったために起こったものです。「位相」をひと言で表すなら「音の波」と言っても良いでしょう。映画のビデオの本編終了後に流れる信号音のように「ピー」といった音程に変化のない一定の音をグラフにすると【図1】のような波の形を表しています。このような波形は正弦波と呼ばれ、音の「位相」を表現しています。

 先ほどの実験のように極性を反転させると【図2】のようにAとBとは位相が反転した状態になり音と音が打ち消し合い音が消える(音量が下がる)現象が起こります。このように音を打ち消す方法は、いろいろな技術に応用されています。

 たとえば、空調ダクトの騒音を抑えるのにこの技術を使っています。通常は吸音材をダクトの周りに巻いて音を吸収していますが、ダクト内部にマイクを置き、そこで発生した音の位相を反転させ逆相の音を作り、その音をスピーカーから出して騒音を軽減させています。この方法は他にも高速道路の騒音対策としても注目されてきています。


【図2】音と音が打ち消し合う合成波

 

 ふれあい科学館では、11月1日からサイエンスショー「音、音っとドレミ」を開催いたします。音の不思議を探りながら実験ショーを行います。どうぞお楽しみに!

     
 

(事業課 武藤 真志)

   

2005年10月20日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より