摩擦の力
〜身近な現象に深く関連〜

2005/11/03


 物と物が触れ合う時に触れ合う面で動きを妨げようとして働く力のことを摩擦といいます。今回は、この摩擦について着目してみましょう。

     


【写真1】鉛の錘を使った摩擦実験

【厄介な摩擦とありがたい摩擦】

 部屋のタンスを移動するとき、タンスの底面は大きな摩擦の力が働き、押してもびくともしません。乾燥した日に突然発生する山火事も、木々の枝が互いにこすれ合うことで起こる自然災害で摩擦(熱)の仕業です。一方、摩擦が小さくなることで起こる、雪崩や地滑りなどもあります。

 このようになかなか厄介な摩擦ですが、逆に摩擦があるからこそという現象も少なくありません。例えば、本をめくる動作。これは、指の指紋と本の紙との間に起こる摩擦のおかげですし、道を歩くという当たり前の動作も足の裏と地面との間に摩擦があって初めて成り立つことなのです。人間が意図的に木をこすり合わせて火をおこすことができたのも摩擦のおかげと言えるでしょう。

 

 このように摩擦は厄介者でもあり、ありがたい存在でもあるのです。では、次に摩擦を利用した面白い実験を紹介しましょう。

【鉛の実験】

 釣り用の鉛の錘(おもり)を2つ準備し、それぞれカッターで平らに削り、面と面を強くこすり合わせるように押しつけます。すると、【写真1】のようにぴったり付いて、瓶をぶらさげてもしっかりとついています【写真2】。これは、2つの接触面に摩擦が働いたからなのです。

【電話帳の実験】

 電話帳などの厚い本を2冊準備します。本を1枚ずつ交互に挟んでいきます。これを両方から引っ張ってみましょう。びくともしません【写真3】。これもやはり摩擦の力によるものなのです。このように摩擦を調べていると身近なところでいろいろな現象とかかわっていることに気付かされます。

 今月のサイエンス広場(11月3・6・13・20・23・27日の午後1時から)では、左右の手に持った糸を交互に上下させると上に登っていくサンタクロースを作ります。こちらも摩擦を利用した工作で、クリスマスの飾りにもなりますので、ぜひご参加ください。


【写真2】摩擦の力で瓶が落ちない


【写真3】厚い本を使った摩擦の実験

     
 

(事業課 野田 裕美)

   

2005年11月3日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より