鉄道ジオラマの旅
〜昭和初期にタイムスリップ〜

2006/03/02


 郡山市ふれあい科学館22階展望ロビーの一角に、かわいらしい電車や蒸気機関車の模型が走っている場所があるのをご存じですか? 模型の大きさは実物の150分の1、車輪の幅が9ミリであることから数字のナインの頭文字を取って「Nゲージ」と呼びます。

     


写真1

 その鉄道模型を使い、実際の郡山の風景に似せて作ったジオラマの面積は40平方メートルで、Nゲージでの鉄道ジオラマとしては全国一の規模を有します。このジオラマは明治、昭和初期、現代の郡山駅周辺の様子が、当時の鉄道と共に細かく再現されています(写真1)。ここには、ジオラマ前面にあるボタンを押すと模型を動かすことができる簡易シミュレーターや、小型カメラを積んだ模型「SL磐梯会津路号」を操作できるコーナーがあります(写真2)。

 今回はジオラマの世界でその磐梯会津路号に乗って、鉄道とともに発展してきた郡山を旅してみましょう。

 

【現代〜昭和初期〜明治】

 まずは現代の郡山駅前から出発します。春の郡山の街並みを横に見ながら逢瀬川を越えて家々の間をさっそうと駆け抜けます。トンネルを抜けると昭和初期にタイムスリップ! 雪景色の郡山を見ることができます。東北本線を走るSL「C-50」とすれ違うさまは迫力満点です。昭和初期のトンネルを抜けると、今度は紅葉の映える明治時代です。明治20年に開業した郡山駅には当時、三春鉄道馬車も走っており、ジオラマ内をよく見ると実際に馬車の姿を見ることができます。


写真2

 

【折り返し・明治〜昭和初期〜現代】

 三春鉄道馬車を横目にトンネルを抜けると、また昭和初期の郡山に戻ります。大正2年に洋風の駅舎に改築され、ますます乗客数、取り扱い貨物が激増し、明治時代に比べるとたくさんの線路が目に入ります。この時代になるとかなり発展してきた感じもうかがえますね。ジオラマ内を見渡すと、そこで目に付くのが転車台です。今の電車は前にも後ろにも運転台が付いていますが、SLは一方にしか付いてないので方向転換するために転車台が設けられています。現在は全国でもあまり見かけなくなってしまいましたが、今でも郡山では見ることができます。さらに進んで行くと現代の郡山に戻ってきます。戦後大きな被害を受けながらも大復興を果たした郡山。昭和40年には東洋一の郡山操車場が完成し、昭和57年には東北新幹線が開通。まさに高速交通の要所として、また、東北有数の商工都市として大きく発展しました。

 鉄道ジオラマの旅、いかがでしたでしょうか。ふれあい科学館にお立ち寄りの際は、ぜひ鉄道ジオラマをご覧ください。また、1日3回、全列車が郡山の歴史の解説の映像とともに動く鉄道ジオラマショーも合わせてご覧ください。

 
 

(事業課 武藤 真志)

   

2006年3月2日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より