郡山市ふれあい科学館では2018年2月3日(土)に、第33回星の講演会「驚異の視力で見る宇宙 〜アルマ望遠鏡〜」を開催しました。
今回は、国立天文台チリ観測所の平松正顕先生にお越しいただき、アルマ望遠鏡とその成果についてお話していただきました。
アルマ望遠鏡は「電波」を使って観測を行う望遠鏡です。「電波で宇宙を見る」ということは想像がつきにくいものです。今回は、電波を使って携帯電話などを見ると、それが光って見えるといった例で、電波天文学の基本を分かりやすく紹介していただきました。
この電波を使うことで、可視光では見ることができないガスの内部が見えたり、分子が出す特定の電波をつかまえることができます。その電波を調べることで、どんな成分がどれだけあるのかを知ることができ、星が誕生する様子や、生命のもとになるアミノ酸などを探していくという、アルマの目的を紹介していただきました。
アルマ望遠鏡は南米チリの標高5,000mのアタカマ砂漠にあります。日本から現地まで片道12時間もかかることや標高5,000mでは酸素ボンベが必要なことなど、多くの苦労があることなども紹介していただきました。その一方で、晴天率が極めて高く乾燥しているため、観測には最良の場所であることが分かりました。
そのアルマ望遠鏡があるところではどんな景色が見られるのか、撮影された全天の映像をドームスクリーンに映し出して紹介していただきました。
口径12mの電波望遠鏡が並ぶ様子や、口径7mの電波望遠鏡に囲まれる様子は迫力がありました。また、現地の星空の様子も映像で見ていきました。天の川がとても鮮明で感動の声が上がっていました。
そして、アルマ望遠鏡の成果については驚きの連続でした。従来の観測と比較して紹介していただき、アルマ望遠鏡の驚異的な能力がよく分かりました。また、その成果に観測者たちも手が震えたり涙したというエピソードは特に印象深いものでした。今後もたくさんの新発見があることを期待したいと思います。
終わりの質問コーナーでは、たくさんの質問が出され、一つ一つ丁寧に答えてくださいました。
今回は、アルマ望遠鏡についてだけでなく、現地の様子なども併せてご紹介いただけたことで、地球の裏側にあるアルマ望遠鏡も身近なものに感じることができました。とても分かりやすいお話であっという間の90分でした。平松先生、お忙しい中お越しいただき、ありがとうございました。