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4月の下旬から5月中旬頃まで、夕方の西空に目で見ることのできる惑星が大集合し、ちょっとした話題になりました。 特に先週は、水星から土星までの5つの惑星と月が、西の空にずらりと並ぶ珍しい光景を見ることができました。 その中で、夕焼けのまだ残る明るい空に見えてきた一番星が金星でした。 これから他の惑星たちは太陽にどんどん接近するため、だんだん見ることができなくなりますが、金星は秋ごろまで、その美しい輝きを見ることができます。 |
夕やみに輝く金星 |
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探査機「マゼラン」の撮影した |
昔から、夕方見られる金星を「宵の明星」、明け方に見られる金星を「明けの明星」と呼び親しまれています。 では夜中に見られる金星は・・・?! 実は、金星は地球より太陽の内側、太陽に近いところを公転しているため、地球から金星を見た場合、太陽から一定の距離以上に離れることはなく、そのため真夜中に金星が空に見えることはありません。 通常目では夕方の西の空か、夜明け前の東の空でしか見ることができないのです。 古代ギリシャでは、宵の明星と明けの明星は別の星であると考えて、宵の明星のことを「ヘスペロス(意味:西、夕方)」、明けの明星のことを「ポスポロス(意味:光をもたらすもの)」と名づけました。 その後、ピタゴラスの時代(紀元前500年頃)にこれらが一つの星であるとわかり、愛と美の女神「アフロディテ」(英名:ビーナス)の名で呼ばれるようになりました。 |
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この金星を明るく輝かせているのは、厚く覆っている雲のためです。
しかしこの雲の主成分は濃硫酸となっていて、さらにその下には90気圧もの濃い二酸化炭素の大気があるため、温室効果によって表面の温度は500度近くにもなります。
ビーナスは厚い雲の化粧をまとい、その下には恐ろしい内面を持っていたわけです。
夕暮れの空にひときわ明るく輝く金星の姿は、まちの中からでもよく見ることができます。 仕事や学校の帰り道、宵の明星が輝く美しい情景を眺め、ビーナスの姿に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。 |
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(天文係 安藤享平) |
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2002年5月21日読売新聞福島版の「星のある風景」より |
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