2002/06/06


 私たちをいつも暖かく照らしてくれる太陽。 実は夜空の星たちと同じ恒星の仲間だということを知っていましたか? 太陽だけがあんなに明るく、大きく見えるのは、飛び抜けて近くにあるからです。 もし遠くの恒星から見たら、太陽もたくさんの星のうちの一つにしか見えないでしょう。

 恒星はとてつもなく大きなエネルギーを出して光っています。 このことは、日やけのもとになる紫外線やラジオに使う電波など、人間の目には見えないような光で太陽の写真を撮るとよく分かります。 太陽の表面や外側ではいつも爆発が起き、気体などが激しく噴き出している様子が見られます。

 その太陽が今月十一日に突然欠けてしまうと言ったら、皆さんは驚きますか? 実はこの日の朝、日本全国で日食を見ることが出来るのです。

郡山での日食の見え方

部分日食

 なぜそんなことが起きるのか分からなかった昔は、日食は不吉なものとして恐れられたこともありましたが、現在では、太陽が手前を通る月に隠されるために欠けて見えることが分かっています。 太陽と月、本当の大きさはまるで違いますが、地球からの見かけの大きさはほぼ同じです。どちらも毎日少しずつ、空での位置を変えていくように見えます。 太陽と月がちょうど重なって見える時、日食が起こります。 太陽がすっぽり隠れる時は皆既日食、縁だけ丸く残るときは金環日食、隠れるのが一部だけの時は部分日食で、このうち今回、国内で見られるのは部分日食です。

 当日はぜひ観察にチャレンジしてみて下さい。欠け方が一番大きくなるのは郡山で午前七時四十四分ごろです。 でも太陽を直接見つめると目を痛めるので要注意。太陽観察用のフィルターなどがない場合、簡単でお勧めなのは、小さな穴を通った太陽の光を紙などに投影して観察する方法です。 光は円ではなく欠けた形に見えます。

 私が初めて日食を見た高校生の時、太陽の形が欠けるのはもちろんのこと、指で作った穴や雨戸の小さなすき間からこぼれてくる光も、自分の足元ではみな太陽と同じ形の光になっていることに感激しました。他にもいろいろな穴で試してみて下さい。木漏れ日で日食の観察なんて、すてきかもしれませんね。

SOHO衛星による太陽の紫外線画像(ESA&NASA提供)

(展示情報係 石原裕子)

2002年6月4日読売新聞福島版の「星のある風景」より