2002/06/21


 今年の夏至は6月21日の金曜日です。夏至というのは、どんな日だと思いますか? 一年で一番昼間の長い日、かつ太陽が真南に来た時(南中といいます)の地平線からの高さ(高度といいます)が一番高い日です。
 夏の昼ごろに出来る自分の影と、冬の影とを比べて、影の短さに驚いたことはありませんか? 夏至のころ、県内では、南中時の太陽の高さは地平線から約76度です。 冬の太陽は低く冬至のころで約29度ですから、太陽の高さは1年で約47度も変化をします。
 また、太陽の沈む位置をじっくりと見たことはありますか? 夏至のころは、最も北にずれた西の方角(北西)に沈みます。 春分や秋分には太陽は真西に沈み、冬至には最も南にずれた西の方角(南西)に沈みます。(図1参照)


[図1]南中高度の季節変化

 


[図2]地軸の傾きによる太陽光の当たり方
(夏至のころには北半球を中心に照らす)

 ところで、世界地図を見ると北回帰線、南回帰線という表示がありますが、これは何かなと疑問に思ったことのある方もいるのではないでしょうか? 実は私も小さいころ地図を眺めてこの線は何だろうと不思議に思っていたのですが、緯度0度、つまり北極と南極の中間で地球を一回りしている線が赤道、南北23.4度の緯度線に沿って描かれているのが南北の回帰線です。
 北回帰線は北半球における夏至の南中時の太陽が真上で輝く場所です。 同様に南回帰線上では冬至の太陽が真上で輝きます。
 南北回帰線の間の熱帯地域では、南中時の太陽高度の変化が年間を通じて少なく、気温の変化による季節変化がありません。 一方、南北回帰線からはずれた中緯度地域では、太陽高度の変化が大きいため、四季折々の季節変化が訪れます。

 

 また夏至のころ、北緯が66.6度よりも高い北極圏では、太陽が一日中沈まない日が続きます。 逆に南半球では季節が冬となり、南極圏では一日中太陽が昇らない夜が続きます。これは、地球の地軸が23.4度傾いていて、夏至の頃には、太陽の光が地球の北半球を中心に照らすためです(図2参照)。

 入梅の季節となりましたが、晴れた日にはぜひ太陽の沈む方角や高さを眺め、季節の移り変わりを感じてみてください。

(天文係 田辺 玲奈)

2002年6月18日読売新聞福島版の「星のある風景」より