明るい星多い 冬の夜空

2003/02/07


 

 すっかり寒くなり、冬本番といった感じをうけます。それにつれて宵(よい)の空もいよいよ明るい冬の星たちが主役となりつつあります。 夜の八時ごろ、東から南東の空に明るい星がたくさん見えていて、とてもにぎやかです。 これら明るい星たちを見ていくと、星にはそれぞれ色がついていることが分かります。 例えば、東の空高いところには、黄色い星カペラ(ぎょしゃ座)が見つかります。 そこから少し高度を下げ、南東の空を見ると、オレンジ色に光るアルデバラン(おうし座)があります。 このアルデバランから20度ほど低い空には、赤いベテルギウスと白いリゲルが明るさを競い合うように輝いています。


ベテルギウス(オリオン座)(左)と
シリウス(おおいぬ座)

 この二つは共にオリオン座の星です。 古くは平家の赤旗・源氏の白旗から平家星・源氏星などと呼ばれたそうです。オリオン座からさらに低い空を見ると、ひときわ明るい星が目につきます。 夜空に光る恒星の中で最も明るい星・シリウス(おおいぬ座)です。その明るさのため「焼き焦がすもの」という意味を持つこの星は、青白く輝いています。 シリウスの東側に見える明るい星はプロキオン(こいぬ座)で、こちらは白色に見えます。

 プロキオンの少し上を見ると、明るい星が二つ並んでいます。 白い星がカストル、黄色い星がポルックスで、ふたご座の星たちです。その色から金星・銀星などと呼ぶ地方もあったようです。 しかし、このふたごの星の明るさは、ポルックスが一等星で、カストルはやや暗く二等星となっています。 全天で二十一個ある一等星のうち、この冬の星空には七個が集まっています。 今年はここに土星と木星が加わり、さらににぎやかになっています。

 さて、星の色というのは星の表面温度により決まっています。 温度が低くなるにつれ、青白→白→黄色→オレンジ→赤と色が変わってきます。 最も温度の高い青白い星は一万度以上の星です。 一方、赤い星は三千度程度となります。


冬の1等星たち。ベテルギウス、シリウス、プロキオンを結んでできる三角形が冬の大三角です。

 

 色がついて見えるのは明るい星だけで、暗い星はすべて白く見えてしまい、色の違いは分かりません。 これは人間の眼が、ある程度の明るい光でないと光の色を識別することができないためです。 明るい星の多い冬の星空で、様々な星の色をぜひ楽しんでみてください。

 

(天文担当 近藤 正宏)

2003年2月4日 読売新聞福島版 「星のある風景」より