星座の歴史(上)
〜生みの親はシュメール人〜

2003/04/30


 

 今回から3回にわたり星座の歴史についてご紹介していきます。1回目の今回は星座のふるさとのお話です。

 最近、夜の8時ころ、西の空やや高くにとても明るい木星が見えています。このあたりが誕生日の星座の一つである「かに座」です。誕生日の星座は全部で12個ですが、空には全部で88個もの星座があります。

 


メソポタミア地方の古代文明、バビロニアの位置。
現在のイラク付近となる(提供・五藤光学研究所)

 星座が作られたのはいつごろでしょう?

 人々は満天の星を眺めては、明るい星を結んで形をつくり、夜空というキャンバスに星座という絵を描いていきました。

 星座の起源は古く、今から4000年以上前にメソポタミア地方で栄えたシュメール人にあるといわれています。

 彼らが調べた太陽や月、星の知識はその後バビロニアに伝えられました。紀元前7世紀には今日の黄道12星座(誕生日の星座たち)にあたるものを含め、全部で36の星座が作られていました。これらはその後ギリシアへと伝わり、現在の星座へと受け継がれていったのです。

 

 星座のルーツは、バビロニア以外にも世界各地にあります。

 例えば、エジプトでは「かば座」や「わに座」といった独自の星座が作られました。その後エジプトにもバビロニアの星座が伝わったようです。エジプトのデンデラーにあるイシス神殿の天井には、円形の星図が残っていました。ここには、バビロニアの影響を受けたと見られる「いて座」などとともに、「かば座」なども描かれていますが、やがてこれらの星座は使われなくなりました。

 ギリシアへと伝わったバビロニア起源の星座は何度か整理され、現在の形となります。次回は、紀元2世紀に天動説を確立した天文学者プトレマイオスがまとめた48星座などをご紹介します。


エジプトのイシス神殿の天井に残る円形星図。
紀元前1世紀ごろのものと推定される
(提供・五藤光学研究所)

 

(天文係 近藤 正宏)

2003年4月22日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より