時の記念日
〜星の動きで生活時間測定〜

2003/06/12


 

 今日、6月10日は「時の記念日」です。今から1300年余り前に、天智天皇が水時計を実用化したことにちなんで大正9年に制定されました。今回は、この時間についてご紹介します。

 私たちが日常的に使う時間を「日本標準時」といい、日本国内のみで使用されていますが、これは「世界時」に9時間を加えたものとなっています。

 


「回転する北の星空」
星空の動きから1日の長さを決定します

 ところで、この「世界時」とは、どのようにして決められているのか、皆さんはご存知ですか。「世界時」の基本は、地球が太陽に対して1回自転する1日の長さとなっており、イギリスのグリニッジ天文台を基準にした時間です。

 また、時間の精度を高めるため、世界の主な天文台では、星や太陽が真南の位置に来た時刻と翌日に同じ位置へ来た時刻差から一日の長さを測定しており、最終的にはこれらの情報を総合的に分析して、国際機関である国際地球回転観測事業がこの世界時を決定しています。

 一方、時間を正確に測定する時計としては原子時計があります。この時計は100万年に1秒といった狂いも生じないものですが、この時計で地球の自転を調べると、地球の自転が一定ではなく、わずかな誤差のあることがわかりました。

 

 絶対的に正確な時間は原子時計の時間ですが、いくら正確でも、私たちは「昼に活動し、夜に休む」というリズムで生活していますので、これに合う時間でないと実用的ではありません。そのために、地球の自転のわずかな誤差は「うるう秒」として調整し、「世界時」を世界の標準時間として使用しているわけです。

 地球の自転を身近に体感することはできませんが、反対に星の動きとして見ることはできます。ゴロリと寝転がり、夜空を30分ほど仰ぎますと、宇宙の中で地球が動いている感覚を味わうことができますので、ぜひ試してみてください。

 次回は「七夕」のお話についてご紹介します。

 

(事業課 木村 直人)

2003年6月10日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より