太陽系の仲間たち(4) 
〜最接近 赤く明るい火星〜

2003/08/26


 

 いよいよ明日、大接近中の火星が地球に最接近します。今年は約6万年ぶりの大接近と言われていますが、今回は火星大接近についてご紹介しましょう。

 地球は365日で、火星は687日で太陽の周りを公転しています。すると、1周するのが早い地球が火星を追い越していくので、約2年2ヶ月ごとに地球と火星が並びます。この時を「火星接近」と言います。

 


※この図は、地球と火星の軌道をわかりやすく誇張しています。特に火星は大きなだ円を描いて公転します。どの位置で地球と火星が並ぶかによって、接近する距離は大きく変わります。

 ですが、地球も火星も太陽の周りをだ円で回るため、地球の軌道と火星の軌道の間隔が場所によってずいぶん異なります。間隔が最も広い場所で接近する場合、約1億キロほどの距離となります。逆に間隔の狭い場所では、この半分近くにまで近づきます。15−17年ごとに間隔の狭い場所で接近する「大接近」の状態となりますが、今回は5576万キロで、ここまで接近するのは計算上約6万年ぶりになります。今回は特別良い条件と言えるのです。

 火星は普段より非常に明るくなります。今ごろはマイナス2.9等で、金星ほどではありませんが、木星よりも明るくなります。ですから、見つけるのは簡単で、とにかく赤く輝く明るい星を見つければ、それが火星です。

 

 今ごろの火星は、ほぼ一晩中夜空に見えています。夜8時ごろ、南東の空低いところに見え、この後時間とともに高くなり、夜中に南の空で40度くらいまで昇ります。 火星の昇ってくる時間は、日にちが過ぎるにつれ早くなり、9月下旬には宵空でもずいぶん高くに見えてきます。

 最接近を過ぎると、少しずつ地球と距離は離れていきますが、今回ほどの大接近ですと、10月上旬までは見ごろと言えます。

 話題性十分の火星を、いろいろな見かたで楽しんでください。

 次回からは2回シリーズで、月の世界をご紹介します。


火星は秋の星座の中にあり、ひときわ目立っています。火星の下には、秋の星座の中で唯一の1等星である、フォーマルハウトも見えます

 

(天文係 安藤 享平)

2003年8月26日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より