ブラックホール
〜銀河の中心で激しい現象〜

2003/11/11


 

 星が何千億個も集まっている銀河。望遠鏡で撮影した銀河の写真はとても美しく、形や模様も多彩で見飽きることがありません。

 


ブラックホールを持つ銀河IC2560
(宇宙望遠鏡科学研究所提供)

 こうした銀河の中には、中心だけが非常に明るいものがあります。さらに調べると、このような銀河の中心部分は非常に高温だったり、あるいは何かが噴き出していたりと、その美しい姿からは想像も出来ないような激しい現象が起きているようです。

 このような現象を引き起こすほどの大きなエネルギーは、どこからくるのでしょうか。これは巨大なブラックホールがあるためではないかと考えられるようになりました。

 ブラックホールは、あらゆるものを引き寄せてしまうという不思議な天体です。近くにある物質は、ブラックホールの周りを回りながら少しずつ中心へと引き込まれていきますが、ぐるぐる回る途中で温度が高くなり明るく輝き始めます。

 

 非常に明るい銀河の中心の正体がブラックホールだという考えは1960年代ごろからありましたが、実際にその存在が確かめられたのは、1990年代になってからです。ハッブル宇宙望遠鏡や日本も含めた電波望遠鏡などの観測によって、次々とブラックホールの証拠が見つけられました。

 こうして、銀河の中心にブラックホールがあることは分かりました。しかし、こうしたブラックホールがどのように誕生して成長するのかについては、まだほとんど分かっていません。謎はまだまだ尽きないようです。

 宇宙の話題の中でもブラックホールの話はとても人気があります。ブラックホールは、人々の興味までも引き付けて離さないようですね。

 次回は、銀河と銀河が衝突してしまったらどうなるかというお話です。


銀河M87からジェットの噴き出す様子
(NASA提供)

 

(展示情報係 石原 裕子)

2003年11月11日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より