大きな恒星たち
〜太陽の数百倍から千倍の大きさ星〜

2004/02/12


 

 前回は恒星の温度についてのお話でした。温度が高い星は青白く見え、温度が低い星は赤く見えます。星は、温度が高く、大きいほど明るくなります。一般に青い星は大きい星で、赤い星は小さい星です。ですから、青い星のほうが赤い星よりもずっと明るく光っています。

 


オリオン座の1等星ベテルギウス。赤くて明るい恒星です(提供・木村直人氏)。

 先月、これまでで最も明るい青い星が見つかったというニュースがありました。少なくとも太陽の4000万倍も明るいのだそうです。大きさは地球(直径約12,800q)の100倍以上も大きい太陽のさらに150倍以上もあります。この星は、現在見つかっている中で一番明るい星ですが、一番大きな星なのかというと、そうではありません。実は赤くて、もっと大きな星があるのです。

 太陽のような星はその一生の終わりに大きく膨らみます。このような星を赤色巨星といいます。文字通り、赤くて巨大な星です。赤色巨星は、温度は低いのですがとても大きいため明るく光っています。

 

 みなさんは、夜空に赤くて明るい星を見たことがありませんか? たとえば、この季節には夜8時ごろ南の空にオリオン座のベテルギウスという赤い星を見つけることができます。この星は私たちから近いところにある赤色巨星なのです。その大きさは太陽の数百倍から千倍もあります。先ほどのニュースの青い星よりもさらに数倍大きいのです。

 夜空に見える赤い星は、ほとんどが近くにある赤色巨星です。実際の星空では、星によって距離が違うこともあり、青や赤などさまざまな色の明るい星を見つけることができます。


最も明るい恒星のイメージ

 

 太陽もやがては歳をとります。もし、太陽が赤色巨星となれば、私たちの地球は大きく膨らんだ太陽の中にのみこまれてしまいます(!)。一体、太陽などの星はどのくらい長く生きられるのでしょうか?

 次回は重くて大きな星と軽くて小さな星はどちらが長生きなのか? 星の寿命についてお話します。

 

(天文係 近藤 正宏)

2004年2月10日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より