春分の日
〜本当に昼、夜の長さ同じ?〜

2004/03/10


 

 まだ寒い日もありますが、少しずつ太陽の光に力強さを感じることができるようになりました。暦の上では啓蟄(けいちつ)も過ぎ、もうすぐ春分(しゅんぶん)を迎えます。

 これらの言葉は二十四節気といい、季節の移り変わりを知る目安として古く中国で作られ、日本に伝来して使われてきたものです。

 現在、新聞やテレビの天気予報でもよく耳にするので、みなさんにもおなじみではないかと思います。

 


1年の間に太陽の高さはずいぶんと変化します。 福島県付近では、春分の太陽の南中高度は約53度、夏至の日は約76度、冬至の日は約30度とずいぶん違います(五藤光学研究所提供)

 二十四節気が考えられたころの中国では、月の満ち欠けを基準としたカレンダー(太陰太陽暦、いわゆる旧暦)が用いられましたが、二十四節気は冬至・夏至といった太陽の運行を基準にした、太陽暦の考えに近いものです。観測で日付を決めやすい冬至から1太陽年を決め、それを24等分して決めました。

 旧暦では、冬至から約45日後の立春を1年の始まりとしていますが、これは後漢の時代以降で、前漢の時代は冬至からを春として扱っていました。

 


日の出・日の入りの定義や、大気によって地平線付近の太陽が浮き上がって見えることなどから、春分の日より数日前に昼と夜の長さが等しくなります。

 こうして決められた二十四節気ですが、清朝以降は西洋から入った天文学の知識を用い、天球上での太陽の通り道である黄道を24等分して、二十四節気を決めています。その基準点は春分点、簡単に言えば春分を1年の出発点として扱うようになったのです。

 春分の太陽は真東から昇り真西に沈みます。(図上参照)。真西の方角が分かりやすいということは、祖先のいる西方浄土がはっきり分かるということで、彼岸の中日としてお墓参りをするということになるのです。

 

 春分は、昼と夜の長さが半分ずつといいますが、新聞の日の出・日の入り時刻を見ると・・・! この秘密は、日の出・日の入りの定義などと関係があります。(図下参照)

 春分の日は祝日となる、1年でも特別な日です。春分の日に季節の移り変わりを感じてみてください。

 

(天文係 安藤 享平)

2004年3月9日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より