金星の太陽面通過
〜130年ぶりの天文現象〜

2004/06/10


 

 今日(6月8日)の午後、本県はもちろん、日本全国でとても珍しい天文現象を見ることができます。日本で見られるのは130年ぶり、世界的にも122年ぶりとなる、「金星の太陽面通過」という現象です。

 


地球・金星・太陽の関係。金星は地球の内側にあるため、望遠鏡で見ると月と同じように満ち欠けをしている様子がわかります。

 この現象は、日中の空で明るく輝く太陽の表面を、金星が横切っていくように見られる現象です。太陽のまわりを、地球や金星などの惑星が公転していますが、地球より内側を金星が回っているため、地球から見ると、太陽と金星が同じ方向になる時がやってきます。

 これを「合」と呼びますが、地球から見て金星が太陽の手前にやってくるときを「内合」、太陽の向こう側に金星がやってくるときを「外合」と呼びます。

 このうち「内合」の時、太陽・金星・地球が一直線上に並べば、金星が太陽の表面にあるように見られるのです。

 

 内合は584日ごとに起こりますが、金星が太陽の少し上や下にある場合がほとんどで、太陽と金星が重なるのは非常に珍しいのです。

 午後2時11分すぎに太陽の端に、黒く丸い金星が見られるようになります。時間とともに黒く丸い金星が太陽の表面を横切っていきます。

 午後8時26分に通過し終わりますが、日本では日没を迎え最後までは見られません。


今日起きる金星の太陽面通過の様子。今回は金星が太陽の表面を通過する途中で日没となるため、日本では最後まで見ることができません。

 

観察法に注意

 太陽は明るいため眼視、あるいは双眼鏡や望遠鏡で直接見ることは大変危険ですので、絶対に避けてください。サングラスを使ってもいけません。特殊なフィルターを通して見るか、望遠鏡による太陽像を白い板に投影する方法で観察します。

 今日は太陽の光を受けながら、5月まで夕焼け空に明るく輝いていた金星が太陽と重なる様子を思い描き、壮大な宇宙をイメージしてみてください。

 

(事業課 安藤 享平)

 

2004年6月8日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より