ブラックホールに近づくと?
〜回りながら引き込まれる〜

2004/06/22


 

 梅雨の季節になりました。こうお天気が悪くては星空を散歩しようにも星が見えません。こんなときは、初めから見えない天体についてお話ししましょう。

 


物質はブラックホールの周りをぐるぐる回りながら
だんだんと引き込まれていきます
(提供 五藤光学研究所)

 見えないのにそこにある天体、それがブラックホールです。ブラックホールは何でも引き込んでしまうという不思議な天体です。こんなことが起きるのはブラックホールがとても大きな重力を持っているためです。ブラックホールに引き込まれたものは、そこから出て来ることはできません。大きな重力から逃げ出すためには速さが必要です。世の中で一番速いのは光ですが、ブラックホールからは光でさえも逃げ出すことができません。光が出てこないということは、つまりブラックホールは見えないというわけです。

 

 そんなブラックホールの近くは一体どうなっているのでしょうか。ブラックホールは周りの物質を引き込んでいますが、それは一瞬ではありません。

 例えば、ボールをブラックホールに向かって投げ入れてみましょう。ボールはブラックホールの周りをぐるぐると回りながら、少しずつ中心へと引き込まれていきます。ちょうどお風呂の栓を抜いた時に、水が渦を作って流れていくのと同じことです。ボールが中心に近付くと不思議なことが見られます。ボールはだんだん細長く引き伸ばされてスパゲティのようになってしまいます。そして赤く見えるようになります。このようなことは、ブラックホールの重力がとても大きいために起きることなのです。


ブラックホールに近づいたボールは引き伸ばされて赤くなります(提供 五藤光学研究所)

 

 ブラックホールが地球に近付いて来たらどうしようかと心配になりますね。でも安心してください。広い宇宙でブラックホールはまれにしか存在しないのです。

 それでは、ブラックホールは宇宙のどこにあるのでしょうか。次回はブラックホールの候補と言われる天体についてご紹介します。

 

(事業課 石原 裕子)

 

2004年6月22日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より