電波望遠鏡
〜見えない宇宙を見つめる〜

2004/11/19


 

 宇宙から地球に届く光は私たちの目に美しい星の輝きとして見えますが、実は私たちの目に見える光(可視光)のほかにもさまざまな電磁波が宇宙から届いています。今回はそのうちの一つである電波についてのお話です。

 


オリオン座の馬頭星雲(国立天文台提供)。暗いところ(左図左側)には低温のガスがあり電波を出している。右図左側は、赤いところが電波が強く青いところが電波が弱い

 温度が数千〜数万度と高温である恒星は、主に可視光を出しています。星と星の間にはマイナス200度以下という低温のガスが漂っていますが、この冷たいガスは可視光を出さないので目で見ることはできません。ところが、低温のガスも電波は出しています。この電波をとらえることができれば、星がどうやって生まれるかなどの宇宙の謎にも迫ることができます。

 この宇宙から来る電波を観測するのが電波望遠鏡です。国内でも長野県にある国立天文台野辺山電波観測所をはじめ、北海道から沖縄まで、各地で電波望遠鏡が日夜活躍しています。

 

 電波は、携帯電話など私たちの暮らしの中でも使われています。携帯電話のアンテナの形を思い出してください。細い棒の形ですよね。

 電波望遠鏡もアンテナの一種ですが、こちらはお皿のような形をしています。お皿の形のパラボラアンテナは、衛星放送の受信にも使われます。この形だと、遠い天体から届く弱い電波でも、お皿の部分で反射させて一点に集めることで電波を受けることができます。反射望遠鏡が大きな鏡で遠い宇宙の光を集めるのに似ています。


長野県の国立天文台野辺山電波観測所に立ち並ぶパラボラアンテナ(国立天文台提供)

 郡山市ふれあい科学館では、電波を集める仕組みが目で見て分かるように改良したパラボラアンテナを今月から展示しました。これは国立天文台野辺山電波観測所の協力で、現役を引退したアンテナが展示物として生まれ変わったものです。ボールを使ってゲーム感覚で体験できますので、みなさんもぜひご来館下さい。

 

(事業課 石原 裕子)

 

2004年11月9日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より