ホイヘンスが見たタイタン
〜大昔の地球によく似ている〜

2005/03/25


   

  前回は土星探査機「カッシーニ」がとらえた最新の土星の姿を紹介しました。カッシーニは土星が持つ衛星の中でも最大の衛星タイタンを調べるために、小型探査機「ホイヘンス」を搭載しており、ホイヘンスは昨年12月にカッシーニから切り離され、今年1月に無事タイタンに着陸することができました。

 

   


カッシーニがとらえたタイタンの様子。表面の周りに紫色の薄い層が見えるのはメタンの大気のため。
(C)NASA/JPL/Space Science Institute

 どうしてタイタンのことを詳しく調べようとしたのでしょう? それは以前からタイタンを調べてきたデータの結果、どうやらタイタンは生まれたばかりの大昔の地球によく似ていることがわかり、非常に興味深い星だったからです。そして、タイタンに着陸したホイヘンスから送られてきた画像に驚くべきタイタンの姿が写っていたのです。

 ホイヘンスから送られてきた画像を見ると、タイタンには川や海、山のようなものがあり、地球の地形にとてもよく似ていました。ただし、川といっても水の川ではなくて、メタンと呼ばれる物質が流れる川だろうと考えられています。また、タイタンには火山活動があることも確認されていました。しかし、地球の火山では溶岩が噴き出しますが、タイタンの火山は氷やアンモニアが噴き出していると考えられています。

 

 メタンの川や、氷の火山など詳しいタイタンの様子がわかってきたのはまさにホイヘンスの大発見でした。遠いタイタンの世界ですが、タイタンは大昔の地球によく似ているので、タイタンのことを詳しく調べることで、私たちの地球がどのようにしてできたか、ということもわかってくるかもしれません。これからもカッシーニやホイヘンスが撮影した画像をよく調べることによって、土星やタイタンの新しい姿が見えてくるでしょう。

 今の季節、ちょうど土星は明るく輝いています。みなさんも夜空を見上げて遠い土星の世界に思いをはせてみてはいかがでしょうか?


ホイヘンスがとらえたタイタンの表面の様子。まるで地球のように川や河口のような地形が見られる。右上の写真はタイタンの表面の様子。15センチ程度の岩石か氷の塊のようなものがいくつも見られる。
(C)NASA/JPL/Space Science Institute

   

(事業課 水谷 有宏)

     

2005年3月22日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より