宇宙で着る宇宙服
〜人間の体守ってくれる〜

2005/04/28


   


宇宙服を着て船外活動を行う土井隆雄宇宙飛行士
(C)NASA/JAXA

  もし、みなさんが宇宙へ行ったらどのようなことが起きるでしょうか。一般的に空気がほとんどなくなる地上百キロメートルから先を宇宙といいますが、ここでは空気がほとんどないためにみなさんの体にはいろいろな問題が起こります。

 まず、呼吸ができなくなります。それから、気圧がとても低いので体の水分や血液がすぐに蒸発してしまうでしょう。また、太陽光の当たるところと当たらないところの温度差は200度以上にもなります。さらには、体に害のある放射線や、ものすごい速さで飛んでくるチリに当たる危険もあります。これでは、みなさんは生きていくことができません。

 

 それでは、宇宙飛行士たちはどうして無事なのでしょうか。最近では宇宙ステーションの組み立てなどで人間が宇宙へ出て作業することも多くあります。この時には宇宙服を着ています。宇宙服は背中の生命維持システムと合わせて船外活動ユニットと呼ばれ、宇宙の厳しい環境から人間の体を守ってくれる、いわば宇宙船のようなものです。宇宙服の中は呼吸のための酸素で満たされ、温度も調節できます。服の生地は何層にもなっていて放射線やチリが飛んできても大丈夫です。

  これだけ高性能の宇宙服ですが、着るまでには手間をかけて準備しなければなりません。宇宙服を着ると動きが取りにくくなりますが、それでも作業がきちんとできるように地上でみっちり訓練します。また、宇宙服は中の気圧を低くしているので、着る前には何時間もかけてこの低い気圧に体を慣らします。

 宇宙へ出るにはこのように万全な備えが必要ですが、スペースシャトルの中にいる宇宙飛行士は、このような宇宙服は着ていません。次回はスペースシャトルの中での生活がどのようなものかご紹介しましょう。


科学館の展示「スペースシャトル用宇宙服」

   

(事業課 石原 裕子)

     

2005年4月26日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より