小惑星探査機はやぶさ
〜太陽系の誕生時を調べる〜

2005/06/29


   

 日本の宇宙開発は最近めまぐるしく進歩をしていますが、その中でも今回紹介するのは、小惑星探査機「はやぶさ」です。はやぶさは2003年5月に打ち上げられた、小惑星のことを詳しく調べるための探査機です。

 

   


小惑星イトカワに到着したはやぶさの想像図
(画像提供・JAXA、ISAS)

 小惑星とはいったい何でしょう? 私たちの太陽系にはさまざまな天体があります。太陽と9つの惑星とそれぞれの衛星、さらに彗星があります。それら以外に存在している小さな天体のことを小惑星と言います。小惑星は太陽系の中に数多く存在しており、軌道がわかっているものだけでも1万個以上にのぼります。

 はやぶさはこれら数多くある小惑星の中のひとつ、「イトカワ」を目指して現在、宇宙空間を旅しています。

 

 どうして、はやぶさが小惑星のことを詳しく調べるのでしょう?

 それは、私たちの太陽系がいったいどのようにしてできたのかを知る手がかりを小惑星は持っているかもしれないからです。

 太陽系は今から50億年ほど前にガスやチリが集まって太陽が誕生し、その後まわりに惑星たちができました。

 そして惑星になりきれずに残ったかけらというものが小惑星です。


太陽系にある小惑星のひとつ、「エロス」の姿。
「イトカワ」もこれに似た姿と言われています
(画像提供・NASA)

   

 惑星たちはそれぞれ進化や変成をしていきましたが、小惑星は太陽系が誕生した時の状態をほとんど残したままで現在に至っています。この小惑星を詳しく調べることで、太陽系がいったいどのようにしてできたのか? ということがわかるのです。いわば、小惑星は太陽系の化石のようなものなのです。

 このような小惑星イトカワに向けて旅をしているはやぶさですが、実は、この探査機にはさまざまな工夫がされているようです。次回はこのはやぶさになされている工夫と、イトカワでどんなことを行うのかを紹介します。

 

(事業課 水谷 有宏)

     

2005年6月28日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より