冬の星空を眺める
〜澄んで輝き増す星〜

2005/12/13


   

 12月に入り、冬本番が近づいてきました。すいぶん寒くなり、夜には外に出たくないかもしれませんが、ぜひこの機会に澄み切った冬の星空を見上げてみましょう。他の季節に比べ、星がとてもまたたいて輝いていることに気づくことができるはずです。

 

   


全天でも一番の輝きを持つ、おおいぬ座の一等星シリウス。(画像提供:木村直人氏)

  冬の星がよりまたたいて見える理由は上空の大気が関係しています。例えば、夏の暑い日に道を歩いていると、遠くの景色がゆらゆらと揺れているように見えることがあります。これは地面からの熱で大気があたためられて、大気の流れが不安定になるためです。一方、冬の季節というのは、福島では吾妻おろしや磐梯おろしと言った強い風が吹くことで知られていますが、日本の上空でも大気がとても速く流れています。そのため宇宙からやってくる星の光が大気の速い流れに乱されてしまいます。そのために星がまたたいて見えるというわけなのです。

 この大気の流れは星をまたたかせるだけではありません。大気の流れが速いということは、それだけ上空のチリやゴミを吹き飛ばしてくれるので、空気がとてもきれいになります。そのため、冬の星空はとても澄んでいるのです。

 反対に、「春霞」と言われるように春の空はすっきりとしません。春は大気の流れがゆっくりとしています。そのために空気中にチリやゴミがたまります。このため、空はかすんだように見え、星もあまりまたたきません。

 

  ところで、このような澄んだ冬の星空の中でも、あまりまたたかない星があります。それが真っ赤に輝く火星、宵の明星の金星などの惑星たちです。惑星は恒星に比べ地球に近いので、見かけの大きさが大きくなります。そのため、大気が乱れていても、大気の影響をあまり受けずにまたたいてないように見えます。

 最近では、夜になるとますます寒さが厳しくなりますが、そんな時こそ夜空を見上げる絶好のチャンス。澄んだ夜空に見える星たちのまたたきはとても美しいものです。ただし、防寒をして暖かくすることをお忘れなく。


冬の星たちの輝き。右上の星の集まりがプレアデス星団「すばる」。左下には明るい星3つで冬の大三角が見えます。(画像提供:国立天文台)

 

(事業課 水谷 有宏)

     

2005年12月13日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より