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このごろの宵空を見上げると冬の星座の中心であるオリオン座が西に傾いており、春の訪れを感じます。去りゆく狩人・オリオンの姿を見上げてみましょう。 |
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オリオン座は非常にわかりやすい星の並びをしており、4つの星での縦長の四角と中心の三ツ星で作られます。歴史は古く、古代バビロニアで最も初期に作られた星座の一つです。神話では粗暴ながらもいくつもの恋をし、またそれがもとで苦難の道を歩む姿が描かれています。 日本でも古くからこのあたりの星は注目され、江戸時代の頃には全体の姿から「鼓星(つづみぼし)」と呼ばれ、また福島では三ツ星を「三大師(さんだいし)」と呼ばれていたことが伝わっています。 天文学の目で、オリオン座に注目してみましょう。四角に輝く星のうち、左上の赤く輝くベテルギウスは約3000度の温度で輝き太陽の700倍以上の大きさを持つ、星の一生が終わろうとしている赤色巨星です。一方、右下で白く輝くリゲルは1万度以上の高温で輝いていることがわかります。手にとることのできない星の姿を知ることができるようになったのは、19世紀に入ってからで、星の光をスペクトル・虹の七色に分けることで、含まれている物質など組成がわかるようになったためです。 |
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一方、三ツ星の下にはオリオン星雲があります。1300光年の距離にあり、ガスやチリが集まって星を生み出している散光星雲です。最近もハッブル宇宙望遠鏡が詳細な姿を撮影し、大小3000個もの星の姿を捉えています。また、日本のすばる望遠鏡による観測からは、若い大質量の星の周りにガスの円盤があることが発見されました。星の誕生と進化を知るための重要な鍵を教えてくれる天体です。 このように、星を見ていくと私たちはさまざまなことを知ることができます。星の巡りによる季節の移ろい、昔の人の天に対する想像、ダイナミックなサイエンスなど、まさに無限の世界が広がっているといえるでしょう。 ぜひ「広大な宇宙への窓」である夜空を見上げ、果てしなき宇宙への想像をこれからも膨らませてください。 |
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(事業課 安藤 享平) |
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2006年3月28日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より |
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