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1995年に発見されたヘール・ボップ彗星は、発見されたとき太陽から遠いところにあるにもかかわらず比較的明るかったことから、太陽に接近する97年春にはとんでもなく明るく見られる彗星として早くから話題となった。何とか世紀の大彗星を見ようと、当時学生だった私はあれこれ思いを巡らした。山で心行くまで見るにはとにかく移動手段が必要だ、と急いで車の免許を取り、中古の車を手に入れて今か今かとその日を待った。 |
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1997年2月頃から夜明けにヘール・ボップ彗星がよく見えるようになってきたので、大学の仲間とともに山奥まで出かけ、ご対面することにした。寒さが足から身にしみる夜明け前、しっかりと夜空で存在をアピールするヘール・ボップ彗星の姿が目に入ってきた。 この日から、晴れれば毎日山奥に出かけ、この大彗星の姿を飽きることなく眺めていた。星が好きな友人はもちろん、普段は興味もない同級生も入れ替わり、ともに彗星の姿に歓声を上げながらの観望を楽しんだ。 |
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毎日見ていると、彗星が星座の中を少しずつ動いていく様子や、明るさや形の変化も良くわかった。ヘール・ボップ彗星は、尾が2本くっきりと分かれ、本に彗星の構造として説明されている「イオンの尾(青っぽいほう)」と「ダストの尾(白っぽいほう)」の違いがとてもよくわかり、興味深く眺めることができた。さらに、ある日いつもより早く山に出かけ、彗星が昇ってくるのを待つと・・・地平線の木のあたりからぼんやりと立ち上がる薄い光の帯が見えた。本で読んだ大彗星の光景を目の当たりにすることができたのである。 おかげで慢性的な寝不足となり、曇ってほしいと思いつつも晴れれば夜半過ぎには体が山に向かっているという状態を半月ほど過ごした。途中、帰り道に後ろを走っていた友人の車が居眠り運転で車を廃車にするというハプニングがありつつも(幸い無傷で済んだので笑い話ですむものの、今考えても恐ろしい・・・)。 |
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3月下旬になり、夕方の空に見られるようになり再び活動を開始。街の中でも彗星の姿がはっきりと見え、時間と相談しながらいたるところでの観望を楽しんだ。 その結果、1ヶ月で車の走行距離が1万kmを超えた。自動車会社の人にはタクシーでもしているのかと不思議がられ、車のシートに座りつづけたせいで、腰痛にも悩まされることになったのだが、3月から5月頃まで肉眼で見つづけることができ、多くの友人とともに楽しませてくれたヘール・ボップ彗星には感謝感謝である。 |
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(事業課 安藤 享平) |
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