今回から始まった、天文カレッジ後期講座「〜チャレンジ天文“学”〜 宇宙を知る」は、宇宙についてこれまで得られた知識を、さまざまな角度から紹介していく講座で、前期の星を見ることに重点を置いた「体感する宇宙」とはまた違った、「頭でイメージする宇宙」を楽しむ講座となります。
今回も前期と同じく、「星空案内人」を目指す多くの方や、宇宙を科学的により深く知りたいという方、そして前期に引き続いて受講の方と、幅広い方にご参加いただきました。今回の講座は、石原裕子学芸員が担当いたしました。
初回の今回は、宇宙のさまざまな姿について、「星の一生」「銀河の姿」「宇宙の誕生から現在」「太陽系の姿」の4つの内容を紹介していきました。宇宙の全体像を把握する、天文学の概論的な内容です。
まずは、宇宙を実感するいちばん基本的な存在ともいえる“星”について、その誕生・質量の違いによる進化・その最期の様子を紹介していきました。恒星のエネルギーを生む「核融合反応」や「元素」など、どこか学生時代の苦闘を思い出す言葉が登場し、少し悩み気味の方も…。しかし、その間に登場する美しい天体の姿に、心が和まれた?ようでした。
星の姿を見たところで、星の集団である宇宙の基本的な構成要素である「銀河」の世界をご紹介しました。本当は石原の専門分野でもあるので詳しくご紹介したかったところのようでしたが…。今回は概論でしたので、基本的なトピックに触れていきました。
そして、銀河から見えてくる宇宙の姿を膨張宇宙論、ビッグバンをキーワードに紹介していきました。宇宙の壮大な歴史を見ていく中で、星でできたさまざまな元素が宇宙に広がり、太陽系を作るという、これまでの大きな流れにつながってきました。最後に、太陽系の天体たちの姿を紹介し、身近な宇宙に戻ってきたところで、今回の講座は時間となりました。
今回は、石原裕子学芸員の「最終講義」でしたが、展示ゾーンでのこれまでの活動を踏まえて、体験などで「宇宙を体感する」話を交えながらの講座となりました。みなさんが宇宙を理解する助けになれば幸いです。
次回は、「星の文化史入門」ということで、宇宙創成や星座の神話や、月にまつわる話題など、昔の人々がどのように宇宙を見てきたかをご紹介します。