小柴先生が講演
〜心に夢のタマゴを〜

2004/10/16


 平成13年10月にオープンしたふれあい科学館も、今年で開館3周年を迎えました。

 これを記念して今月2日、郡山市民文化センターで市制施行80周年・合併40年記念・ふれあい科学館開館3周年記念の小柴昌俊講演会「心に夢のタマゴを持とう」を開催しました。

 みなさんもご存じの通り、東京大学名誉教授の小柴昌俊先生は、2002年にノーベル物理学賞を受賞されました。現在は講演などに招かれることも多く、国内だけでなく世界各地を飛び回っているそうです。

 


分かりやすく語り掛ける小柴さん

 会場のホールには多くの市民が来場しました。小柴先生は、参加した小学生にも分かるようにと、スライドを使いながらやさしい言葉でお話ししてくださいました。

 私たち人間が今ここで栄えているのは「とても大きいこと」、そして「とても小さいこと」の両方が関係しているのだそうです。太陽と同じような星(恒星)たちは、私たちよりもはるかに大きいものです。一方、私たち人間の材料になるような炭素や酸素といった原子は、私たちに比べてとても小さいものですが、これらの小さい原子は、大きな星の中で作られています。

 

 小柴先生のノーベル賞受賞のきっかけとなった研究も、大きいことと小さいことが関係しています。大きい星が超新星爆発を起こすと、「ニュートリノ」というとても小さい粒子をたくさん出します。小柴先生は世界最大の光検出器である、直径50センチの光電子増倍管を新たに創(つく)り、「カミオカンデ」という装置に取り付けることで、超新星爆発から来るニュートリノを捕まえることに世界で初めて成功したのです。


科学館21階展示ゾーンで展示中の
「光電子増倍管」

 

 講演のタイトル「心に夢のタマゴを持とう」は「いつかこれができたらいいな、という将来達成したいことの卵を3つか4つくらい抱えているといいですよ」という先生のメッセージが込められていました。もちろん、中にはかなわない夢もあるでしょう。でも、いくつも卵を持っていれば実現できるものがきっとあるはずです。

 会場でも展示していた光電子増倍管の実物は、科学館の展示ゾーンで「小柴先生とニュートリノ展」として31日まで展示しています。講演を聞き逃した方も、ぜひ来場してください(要展示ゾーン観覧料)。

 
 

(事業課 石原 裕子)

 

2004年10月14日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より