雨上がりの空に太陽の光が差し込むと、色鮮やかな虹を見ることができます。とても美しい色合いに見とれてしまった事のある方も多いと思います。その虹はどうして見えるのでしょう。
太陽の光は白く見えますが、本当は虹のようないろいろな色の光が混ざっています。その太陽の光が、空気中に浮かんでいる水滴を通ると屈折や反射をし、さまざまな色鮮やかな色彩を表現します。それが虹となって見えるわけです。このように光がさまざまな色に分かれることを分光といいます。今回は身近な物を使って虹を見てみたいと思います。
【図1】CD簡易分光器
【CDの表面が虹色に輝くわけ】
CD(コンパクトディスク)はそれ自体きらきら光ってとてもきれいです。光は波の性質を持っていて、その波の長さを波長といい、色によってその長さが違います。赤い色の光は波長が長く、青や紫などは短くなります。CDの表面にはピットと呼ばれるとても細かい溝の列が刻まれていて、そのピットで反射した光は他のところで反射した光と交わり、それぞれの波長によってお互いを強めあったり弱めあったりします。このような「光の現象」が起きたためCDの表面は虹色に輝いて見えるわけです。
【CDと紙コップで分光器を作ろう】
紙コップの側面に光を取り込むための細い溝をあけます。幅は1ミリ以下で、長さは1センチから2センチにします。そのコップの底に、のぞくための穴をあけます。次に不要になったCDを8等分ぐらいに切り取り、角度を30度ぐらいつけた厚紙に虹色に輝く面を上にして張り付け、その上に先ほどの紙コップをかぶせたら簡易分光器の出来上がりです。【図1】
それでは、紙コップの上からのぞいてみましょう。虹色に分光した光が見えますね。【図2】 このように光が分光器によって波長順に分かれた帯をスペクトルといいます。自然光や蛍光灯、白熱灯などでその見え方が違ってきます。いろいろな照明を見比べると面白いスペクトルが観察できると思います。自由研究にも役立ちそうですね。ただし、絶対に太陽光は直接見ないようにしてください。
【図2】CD簡易分光器で見た蛍光灯のスペクトル
【天文学にも使われる分光】
分光は天文学の研究にも使われています。分光によってとても遠くにある星が何でできているか、またどれくらいの温度なのかなどが分かってしまうのです。
今回は虹のように目に見える分光のお話をしましたが、目には見えない赤外線、X線、電波なども分光することができます。この分光を使った研究をすることによって、宇宙のナゾを解き明かそうとしています。
(事業課 武藤 真志)
2007年5月10日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より