金や銀などキラキラと光り輝く金属は、大昔から貴重なものとして、世界各地で装飾品などに用いられてきました。それらを身に着けることで、自分を目立たせたり、豪華で珍しいものを持っているということで権力を示す道具として利用できたのです。
しかし、金や銀はあまり量の採れない貴重な金属です。そのため、別の金属や物を使って、金や銀を新たに作り出そうという考えが生まれました。それが「錬金術」です。もちろん、錬金術では金を生み出すことはできませんでしたが、さまざまな実験が行われ、「化学」の基礎となりました。
トランペットなどの楽器を美しく見せるめっき
錬金術の一つの成果として、「めっき」があります。金属などの表面に、別の金属を薄くコーティングする技術です。めっきを使うことで、金や銀がわずかな量でも、表面に輝きのある製品を作れるようになりました。
紀元前6世紀ごろには、南ロシアを中心とするスキタイ文明で、水銀を使った金めっき「水銀アマルガム法」が使われはじめました。水銀アマルガム法は、水銀に粉末状の金を溶かし、それをめっきする物の表面に塗ります。その後、加熱して水銀を蒸発させ、金だけを表面に残すという、金属の沸点の差を利用した方法でした。この技術は、中国を経由し、古墳時代に日本にも入ってきました。金を水銀の中に滅する(形がわからなくなるまで溶かし込む)技法から「滅金」→「めっき」の語源にもなりました。奈良、東大寺の大仏も造られた当時は、水銀アマルガム法を使った金めっきで全身が覆われ、輝いていました。
透明な小瓶を銀めっきでキラッと輝かせる
現在では、めっきの技術も進歩し、電気を使ってめっき液の金属イオンを移動させて行う「電気めっき」や、酸化・還元を利用した「化学めっき」、真空中で金属を蒸着させる「真空蒸着」など、さまざまな方法でめっきがされています。そして、それらのめっきは装飾品のように美しく見せるためだけではありません。トタンのように亜鉛めっきで鉄がさびるのを防ぐために使われたり、電気製品の部品に金めっきをして通電性を良くするなど、私たちが普段使っているいろいろなものにめっきは使われています。
12月のサイエンス広場は、簡単なめっきを使った工作を行います。皆さんとめっきでキラキラ光る工作を楽しみましょう。ぜひ、ご参加ください。
(事業課 渡辺 正和)
2007年11月22日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より