もうすぐ夏本番です。みなさんは、「夏」といったら何を連想しますか? 猛暑、海水浴、太陽…いろいろなことが連想されると思いますが、鋭い閃光(せんこう)の稲妻、大音響の雷鳴、そうです「雷」を思い浮かべた方もいることと思います。
雷と言えば夏の風物詩ですね。雷の正体は何でしょうか。昔の人々は、雲の中の雷神様が暴れているのだと思っていたようですが、雷は自然が作り出す放電現象なのです。
鋭い閃光の稲妻
水蒸気を多く含んだ空気が地表で暖められて上昇し、この空気が上空で冷やされると水蒸気は小さな水滴となり雲になります。この水滴が上昇気流によりさらに上空まで運ばれると小さな氷の結晶やアラレやヒョウになり、これらが雲の中で激しくぶつかり合い静電気が生じます。これは身近にある静電気の発生の仕組みと同じです。
氷の結晶のように小さなものがプラスの電気に、アラレやヒョウのように大きなものはマイナスの電気に帯電します。そして、軽い氷の結晶は上昇気流により上層部に、重いアラレやヒョウは重力により下層にたまります。そして雲の中に溜まった電気の量が大きくなると、空気の壁を破り地面に向かって放電します。これが落雷です。
雷発生の仕組み
雷の電圧は1〜10億ボルト、電流は数万〜数十万アンペアになり、一般家庭の電気エネルギーにすると1〜2カ月分にもなります。この電気を有効活用できればいいのですが、雷は瞬間的な現象なので、残念ながらこの大量のエネルギーを利用する技術はまだないのです。
ゴロゴロと聞こえたら10キロぐらいのところに雷が近づいています。雷雲の移動速度は、時速10〜40キロにもなります。雷がかなり離れていると思ってもあっという間に近づいてきますし、さらに10キロぐらい離れたところにまでも落雷することがあります。雷が鳴ったら、建物の中などの安全な場所に早めに非難しましょう。
昔から怖いものの代表として「地震 雷 火事 おやじ」などと言いますが、やはり雷は怖いものなのです。ちなみにこの「おやじ」は「大山風(おおやまじ)」つまり台風のことなんだそうです。
この雷と同じ現象を科学館の展示ゾーンで見ることができます。また、5・6月のサイエンスショーは「電気の科学」を開催しております。ぜひ、科学館へ足をお運びください。
(事業課 厚海 一夫)
2008年5月29日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より