今年も暑い夏がやってきました。夏野菜のおいしい季節ですね。旬の野菜はその季節に合った効能があり、夏野菜には、ほてった体を冷やす効果、冬の野菜には体を温める効果があったりします。
野菜おろしロケット発射実験
その野菜には食物繊維やいろいろなビタミンが含まれている話をよく聞きますが、その他にもいろいろな「酵素」と呼ばれる物質も含まれています。酵素は体内でおこる化学反応を助ける働きをする性質を持っています。
その中の1つにカタラーゼという酵素があります。その酵素は、体に良くないものとしてよく耳にする「活性酸素」の仲間の「過酸化水素」が体内に発生した時、それを無害な水と酸素に分解する反応を速めてくれる性質を持っています。
この性質を利用しておもしろい実験をしてみましょう。
【野菜おろしロケット】
この実験で使うものは傷口の消毒に使うオキシドール、野菜をおろしたもの、そしてロケットの本体になるフィルムケースです。
オキシドールは過酸化水素を水で薄めたもので、そのままでも徐々に水と酸素に変わっていく性質をもっています。一方、野菜の細胞内にあるカタラーゼはオキシドールが水と酸素に変わっていく反応を速めてくれる性質をもっています。生野菜や生肉にオキシドールをかけるとブクブクと泡が発生します。この泡は食物に含まれているカタラーゼの働きで発生した酸素です。
ニンジンが酸素を発生する様子
今回はニンジンを使って実験を行います。まず、ニンジンをすりおろします。次にフィルムケースにオキシドールを4分の1ぐらい入れます。その中に一つまみぐらいのおろしたニンジンを入れ、ふたをして2〜3回振ります。すぐにふたを下にして平らな所に置きその場を離れます。発生した酸素がフィルムケースの中でいっぱいになると、その圧力に耐えられなくなったフィルムケースのふたが外れポンッと音をたてて飛び上がります。野菜おろしロケットの完成です。どんな野菜が飛びやすいのかいろいろ実験するのもいいですね。
夏休みの自由研究にもいかがでしょうか? この実験はフィルムケースが勢いよく飛び上がるため絶対に上からのぞきこんだりしないでください。また、野菜が飛び散りますので外の広い場所で行うのがお勧めです。必ず大人の人と一緒に行ってください。このような台所にあるものでも科学の実験はできるのです。そんな台所の楽しい実験を科学館では、7、8月のサイエンスショーで行っています。ぜひご覧ください。
(事業課 武藤 真志)
2008年7月24日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より