私たちの身近にある磁石。磁石にはS極・N極と呼ばれる二つの極があり、違う極を近づけるとくっつき、同じ極を近づけると反発します。皆さんも一度は磁石で遊んだことがあるのではないでしょうか?
磁石に変わったクギ
磁石の歴史はとても古く、紀元前600年ごろ、ギリシアのマグネシア地方に天然の磁石(磁鉄鉱)が産出し、「鉄を引き寄せる石」として使われていました。磁石は、この地名にちなんで「マグネシアの石」と呼ばれ、英語の「マグネット」の語源になったといわれています。
どうして磁石に鉄などが付くのでしょうか? 目には見えませんが、磁石は磁力という力を持っています。鉄を磁石に近づけると、磁石から発生した磁力によって、鉄が磁石に変わってしまうため、くっつくのです。
実験で鉄が磁石に変わるのを確かめてみましょう。磁石にクギをこすりつけてから、クギを磁石から離します。そのクギをクリップに近づけると、クギにくっつくので、磁石に変わったことが分かります。しばらくの間、磁石に変わっているので、ぜひ試してみてください。
では、磁石に付くものと付かないものがありますが、その違いは何でしょうか? 物質を原子レベルの小さな世界でのぞいてみると、磁石のもとになる小さな粒が散らばっています。その物質を磁石に近づけると、【左図】のように小さな粒が規則正しく並ぶことで磁石になります。磁石に付かない物質は、小さな粒がバラバラのままなので、磁石にはなりません。つまり、磁石に付かないのです。
私たちの住む地球も大きな一つの磁石になっていて、地磁気と呼ばれる磁力があります。北極がS極、南極がN極なので、方位を調べるコンパスはN極が北を、S極が南を向くのです。まさに世界一巨大な磁石ですね。
身近な生活の中には、さまざまなところに磁石が使われています。冷蔵庫の扉、スピーカー、モーター、ビデオテープ、磁気カード(キャッシュ・クレジットカードなど)、パソコンにデータを保存するハードディスクなど、これ以外にもたくさんあります。身の周りの物で、磁石がどんなところに使われているのかを探してみると、意外な発見があるかもしれませんね。
そんな磁石の実験や工作が科学館で楽しめます。9月のサイエンススタジオでは「別れたりくっついたり じしゃくの秘密」、そしてデジタルスタジオでは、パソコンで「マグネットシート作り」を行います。ぜひ磁石の不思議を体験してください。
2008年8月28日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より