ゴムは不思議な物質です。引っ張れば伸び、手を放すと元に戻ります。
そしてゴムは身近でいろいろなものに使われています。例えば、自転車や自動車のタイヤ、輪ゴム、風船、それからコンクリート橋や鉄道の土台の一部にも使われています。これらは全て、それぞれの目的に合わせ、ゴムの「弾性」という性質を利用しているのです。
「弾性」とは、外からの力に応じて形を変え、力が加わらなくなると元の形に戻る性質のことです。この性質は実はゴムだけでなく、金属や木材にも備わっていますが、ゴムの性質がずば抜けて大きいことから、特に「ゴム弾性」と呼びます。
いろいろなゴム製品
さて、ゴムは外からの力で引っ張られると、伸びることによってエネルギーを蓄えることができます。反対に、外からの力で押され、縮むことでもエネルギーを蓄えます。エネルギーを蓄えた時のゴムは不安定な状態にあり、安定した状態に戻ろうとします。この力が私たちがゴムを引っ張ったり、押したりした時に感じる力なのです。
そして、私たちはこの力によって衝撃を吸収したり、物を固定することなどに利用しています。先に挙げたゴム製品は、それぞれどれに当てはまるのでしょうか。
タイヤは車両を支えたり、車両の走る力を地面に伝えるもので、中に風船のように空気を入れて使います。タイヤのゴムは縮もうとする力で空気を中に固定しています。
輪ゴムは引き伸ばした状態で物に引っかけたり、包み込んだりして、物を固定します。ここでも、ゴムが縮もうとする力を利用しているのです。
コンクリート橋や鉄道は、その上を列車や自動車が通過する時に大きな衝撃を受けます。橋を歩いて渡っている時に同じ橋をトラックが走ってきて揺れた経験はありませんか。揺れが大きくて回数が多いと、丈夫な橋や鉄道でも壊れてしまいます。そこで、交通量の多い橋や鉄道の土台にはゴムをはさんでゴム弾性により衝撃を吸収させているのです。
このように、ゴムはいろんな役割に使われていますが、どのように作られているのでしょうか。
ゴムはパラゴムノキという木の樹液を集めて作られます。樹液を精製し凝固乾燥させたものが生ゴムで、輪ゴムや消しゴムなどに使われます。他の用途に使うには生ゴムでは柔らか過ぎるということで、1839年に硫黄を加えて強くする方法が発明され、さらに1910年には炭素を加えることにより、熱さや冷たさで変化しにくいゴムが作られました。タイヤが黒いのは炭素が入っているからなのです。
最後になりましたが、科学館では、10月のサイエンス広場でゴムの「弾性」を利用した工作を作ります。ゴムがどのように使われ、そして、どのようにエネルギーが蓄えられるのか、自分の目でしっかりと確かめながら作ってくださいね。
(事業課 日下 政勝)
2008年9月25日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より