科学の広場

光と影の不思議に迫る

 木々の緑も美しい季節になってきました。その木々の間から太陽の光が差し込み、美しい光の筋を見たことがある方も多いと思います。今回はその光に注目してみましょう。



天使のはしご(チンダル現象)

●天使のはしご

 そもそも日常的に光を見るということを疑問に思う方は少ないと思いますが、明るい、暗いという感覚は光が壁や床に反射しているものを感じているだけなので、光そのものは直接光源を見ないと見ることができません。また、光はまっすぐ進む性質を持っているので横から見ることもできません。懐中電灯を点灯して横から見ても光っているかわかりませんね。

 横から見るためには鏡などを使って光の進む方向を変えると見ることができますが、他にも見る方法があります。光の通り道に霧吹きを使って空中に吹きかけてみましょう。すると、光の筋が現れてきました。これは、「チンダル現象」と言い、霧吹きから出た細かい水滴が光の通り道に散らばり、それに反射して皆さんの目に届いたのです。

 この現象は他にもあります。雲の切れ間から太陽の光の筋が見えることがありますね。これも空気中の細かい水滴に反射して見えているのです。この光の筋は「天使のはしご」と呼ばれています。とても素敵な名前ですね。



光の三原色

 また、ホールなどで行われているコンサートの照明でもカラフルな光の筋を見たことがあると思います。舞台上の空中にスモークマシンと呼ばれる機械で煙を充満させ、そこにスポットライトなどの照明器具を点灯すると光の筋ができます。これも煙の粒子に光が反射して光の通り道を見ることができたのです。

●カラフルな光

 舞台やテレビ局のスタジオで、背景がきれいな色に染まっているのを見たことがあると思います。ホリゾントと呼ばれる背景は、もともと白色の壁や布製の幕で、そこにカラーフィルターと呼ばれる色の付いたフィルムを照明器具に取り付け、そこから出た光が当たり、いろいろな色を表現しています。しかし、何色ものカラーフィルターを使っているわけではありません。赤、緑、青の3色の光を適当な割合で混ぜ合わせるとたくさんの色が表現できるのです。例えば、赤と緑を混ぜると黄色に、青と緑を混ぜると水色に、赤と青を混ぜると赤紫に、3色全部混ぜると白色になります。これは「光の三原色」と呼ばれています。カラーテレビはこの原理を利用してたくさんの色を表現しています。

 ふれあい科学館では、5、6月のサイエンスショー「光と影の科学」で、光と影に関するいろいろな実験を行っています。今回の「チンダル現象」や「光の三原色」の実験も見ることができますので、ぜひご来館ください。


(事業課 武藤 真志)

2009年5月21日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より