科学の広場

時間や時計テーマに実験、工作

 「今何時?」

 みなさんは1日に何回時計を見ますか? 人類は時刻を知るために時計を発明し、私たちの生活のパートナーのような存在になっています。今回は、この時計についてお話します。


クオーツ時計

 
 最初の時計は紀元前3000年ごろから使われていた日時計です。これは太陽の反対側にできる影の動きを見て時刻を知るものです。しかし、日時計は夜間や曇天時には使用できず、時刻を細かく知ることはできませんでした。水やろうそくを用いた時計も発明されましたが、これらの時計も天候や外的な条件に左右されるため、正確な時間を計ることができませんでした。その後、発明されたのがゼンマイや重りの力を歯車に伝えて時計の針を動かす機械式時計でした。しかし、1日に1時間ほどのずれが生じてしまい、時刻を正確に刻むことは難しかったようです。

 1583年にイタリアの科学者ガリレオ・ガリレイはランプの揺れを見て揺れが大きい時の往復時間と、揺れが小さい時の往復時間はどちらも同じだという「振り子の等時性」を発見しました。つまり、振り子の揺れ方は規則正しく一定であるということです。この原理を使い、オランダの物理学者ホイヘンスが1657年に振り子時計を発明。誤差も1日に10秒ほどにまで短縮されました。このことがたたえられ、ホイヘンスは機械時計の父と呼ばれています。



水晶

 
 さらに精度の良いものをということで発明されたのがクオーツ時計です。クオーツとは水晶のことです。水晶に電気を流すと、1秒間に32,768回という一定のリズムで振動します。この水晶の振動の回数を数え、32,768回になったとき1秒とするのがこの時計の仕組みです。水晶に不純物が入っていたり、傷がついているとうまく振動しなかったり、大きさによって水晶の振動に要する時間が異なるため、人工的に水晶を作り、利用しています。クオーツ時計の誤差は一日に0.5〜1秒ほどで振り子時計より正確であり、しかも安価にできることから、20世紀後半から普及し始め、現在広く一般に使用されています。

 ちなみに水晶はテレビ、携帯電話、テレビゲーム機、パソコン、電子レンジなどにも使用されており、電化製品の心臓部として活躍しています。

 さらに正確さを求めて、原子時計が発明されました。誤差が100万年に一秒という正確さを誇っています。最近耳にする電波時計は、原子時計で計算された時間を電波で受信し、自動的に時刻を修正しています。

 今現在も進化を続けている時計業界。これからはどんな時計が登場するのでしょうか。楽しみですね。

 3月の科学の実験教室「サイエンススタジオ」では時間や時計をテーマに実験や工作を毎日開催しています。ぜひご参加ください。


 
(郡山市ふれあい科学館 事業課 福澤 世依子)

2010年3月4日 福島民報新聞 情報ナビ[たいむ] 「スペースパーク便り」より