皆さんは夜明け前か日没後の空に、ピカっと輝く一粒の光を追い掛けたことがありませんか?
飛行機のように点滅もせず、ゆっくりと空を横切っていく。それが国際宇宙ステーション(以下、宇宙ステーション)です。鳥よりも飛行機よりもさらに遠い、上空400キロの宇宙にあるものが本当に見えるのか不思議に思われるかもしれませんが、条件がそろえば望遠鏡などは必要とせず簡単に探すことができます。今回はそんな宇宙ステーションの上手な見方を紹介します。
宇宙ステーションの両側に見える
オレンジ色の大きな翼のようなものが
太陽電池パドル。(C)NASA
宇宙ステーションは毎日見られるわけではありません。宇宙ステーションは地球を約90分で一周しており、日本の上空を通過するときに観察することができます。
ただし、上空を通過すれば必ず見られるとは限りません。宇宙ステーションは自分自身では輝いておらず、主に宇宙ステーションの両翼についている太陽電池パドルが鏡の役割をして太陽の光を反射し、その反射光が輝いています。そのため、宇宙ステーションが見られるのは、太陽の光が地平線すれすれからやってくる明け方か夕方だけになります。さらに、宇宙ステーションのスピードは時速3万キロ近くあり、空をあっという間に通過していき、見えるのは数分間しかありません。
このように、なかなか見ることができない宇宙ステーションをつかまえる便利な方法があります。宇宙ステーションの軌道予測を教えてくれるwebサイト「国際宇宙ステーションを見よう(http://kibo.tksc.jaxa.jp/)」にアクセスしてみましょう。
郡山駅前で撮影した宇宙ステーションの様子。
写真は5秒おきに撮影したものを合成した。
実際は点滅せずに飛んでいる。
観測地を選択すると、10日先までの宇宙ステーションが見ごろの日時と方角、高さを教えてくれます。方角は方位磁石などで確かめることができますし、高さは腕をまっすぐ伸ばしてみたときに、こぶしの大きさ(じゃんけんのグー)がおよそ10度になります。
こうして、いつ、どの方角、高さに宇宙ステーションが飛ぶかを調べておけば、宇宙ステーションを見つけることができます。明るさは木星ほどになるので街中でも見つけやすいでしょう。ただし、軌道は変化することもあるため、常に最新の情報をチェックしておく必要があります。
科学館では11月の1カ月間、宇宙ステーションをメインテーマとした全館企画「ようこそ宇宙ステーションへ!」を開催中です。プラネタリウム番組をはじめ、宇宙飛行士が着る服の試着コーナー、宇宙実験の体験など、楽しみながら宇宙ステーションを知ることができます。
そして、郡山で宇宙ステーションが見ごろの場合は、郡山駅前西口広場にて宇宙ステーション観望会を予定しています。11月2日に人類が滞在をはじめて10周年を迎えた宇宙ステーション。あの一筋の光の軌跡には人類の宇宙への夢とあこがれが詰まっています。皆さんも宇宙ステーションを見つけ、宇宙への想いをはせてみてください。
(郡山市ふれあい科学館 事業課 水谷 有宏)
2010年11月18日 福島民報新聞 情報ナビ[たいむ] 「スペースパーク便り」より