科学の広場

12月21日の皆既月食を見よう!

 間もなく今年も終わりですが、ここにきてとても楽しみな天文現象があります。県内では3年ぶりとなる皆既月食です。

 月は太陽の光を反射して輝いています。月食とは、地球の陰に月が入り、月が欠けて見える現象です。太陽―地球―月の順に並びますので、月食のときは必ず満月となります。(日食の場合は、太陽―月―地球の順に並ぶので、必ず新月です。)

 月の一部が欠けて見える現象を部分月食と言います。皆既月食とは、月が完全に地球の陰に入ってしまう現象です。このとき、月は完全に見えなくなるわけではなく、暗く赤い姿に見えます。これは、太陽の光が地球の大気によって曲げられ、赤い光だけが月に届くためです。


【図1】皆既月食中の月の色 (C)国立天文台

 
 皆既月食中の月の色は、いつも同じではありません。地球の大気の状態などで異なります。地球の大気の中にチリが少ないと、赤い光の他に、オレンジ色や黄色い光も月に届くようになります。このようなときは、月の色は図1の「4」のようにオレンジ色になります。一方、大気中のチリの量が多いと、赤い光も月に届きにくくなります。このようなときは、月の色は図1の「0」や「1」のように黒や灰色、こげ茶などになります。

 大きな火山の噴火などがあると大気中のチリの量が多くなります。今年の春にはアイスランドで大規模な火山活動がありましたが、今回の皆既月食では、月はどんな色に見えるでしょうか?ぜひ、確かめてみてください!



【図2】郡山付近での皆既月食の見え方


 
 12月21日に郡山付近で、どのように月食が見えるのかを表したのが、図2になります。月が昇ってくる時刻は午後4時16分で、月が見えてくるころにはほとんど皆既月食に近い状態になっているでしょう。その後、午後4時40分から5時54分まで皆既月食の状態が続きます。この時季は日の入りが早く、午後5時ごろには、辺りもだいぶ暗くなっていますし、十分皆既月食の様子を楽しめるはずです。夜遅い時間帯ではなく、夕方ですので小さなお子さんも一緒に楽しめることでしょう。

 ただ、月は空の低い場所にありますので、東の方角が地平線近くまで広く見渡せるような場所で見るようにしてください。東の方角に高い建物や木などがあると、月の姿は隠れてしまい、見ることができません。その後、月が空高く昇っていくとともに、月は元の姿に戻っていきます。ぜひ、午後6時すぎごろの欠けた月(部分月食)の姿もご覧ください。午後7時ごろには、空に普通の満月が見えているはずです。この時季は寒いので、暖かい服装でお楽しみください!

 科学館では、皆既月食の当日午後4時30分から同7時30分まで、開成山公園で「皆既月食観望会」を開催します。望遠鏡や双眼鏡で月食の様子を観察するほか、月食の仕組みなどを紹介するミニ講座なども行う予定です。ぜひ、お越しください。

 
(郡山市ふれあい科学館 事業課 近藤 正宏)

2010年12月16日 福島民報新聞 情報ナビ[たいむ] 「スペースパーク便り」より