星の広場

世界天文年 宇宙の魅力(5)「天の川」

 みなさんは本物の天の川を見たことがあるでしょうか? 夜空にぼんやりと輝く天の川の姿は、昔から人々の心をとらえてきました。西洋では、女神が空にこぼしたミルクが流れた跡が天の川であると考えていました。ですから、今でも天の川のことを英語では「ミルキー・ウェイ(ミルクの道)」と呼んでいます。

 その後も、天の川は気象現象であるとか、星の光が地上の火や煙の影響によって雲のように見える「目の錯覚」である、などと考えられていたのです。



天の川に双眼鏡を向けると、
数多くの星を見ることができる
(C) 松本博久

 
 望遠鏡を使って天の川の正体をつきとめたのが、ガリレオ・ガリレイです。ガリレオは、望遠鏡で天の川を観察し、そこには目では見えないような暗い星が無数に集まっていることを発見しました。目で見える星の数は、8,000〜9,000個くらいですが、宇宙にはそれ以上にたくさんの星があることが分かったのです。

 現在では、天の川は銀河系と呼ばれる2,000億もの星の集まりであることが分かっています。私たちの太陽は、銀河系の多くの星の中のごく普通のありふれた星なのです。

 さて、本物の天の川を見るコツをご紹介しましょう。まずは、月明かりのない夜を選ぶことが大切です。街灯などのない空の暗い場所に出かけ、しばらく暗い場所に目をならしましょう。7月26日ですと、月が沈む9時すぎからが天の川を見るチャンスです。双眼鏡やオペラグラスなどを向けるとさまざまな天体を見つけることができます。ぜひ、この夏、本物の天の川を見てみませんか?

 科学館では、プラネタリウム一般番組「天の川めぐりの旅」で天の川を見るコツや天の川の中にある星団や星雲といった天体たちなどを紹介しています。ぜひ、お越しください。


 
(郡山市ふれあい科学館 事業課 近藤 正宏)

2009年7月26日 福島民友新聞 郡山版「世界天文年 宇宙の魅力」より