今年を「世界天文年」としたのは、宇宙を見る視点が「望遠鏡」へと大きく変わったことから400年目を記念してのものです。
スペースパークに展示されている
ガリレオ望遠鏡復元レプリカ
イタリアの科学者であるガリレオ・ガリレイは1609年、当時オランダで発明された望遠鏡の話を聞き、自作に取り組みました。そして、合計で100本以上の望遠鏡を作製し、出来の良かった望遠鏡を夜空に向けました。すると、これまで肉眼でのみ観測され、語られてきた宇宙像とは全く違う姿が見えたのです。
まず月の姿について、それまで語られた「水晶のような球体」ではなく、クレーターに覆われた姿であることを見つけました。そして、木星に望遠鏡を向け、四つの小さな星「衛星」が近くにあり、日ごと木星の周りを回っていることをみつけました。そのほか星雲とされた、肉眼でぼんやりと見られる天体についても、星が多く集まる「星団」であることや、天の川についても星の集まりであることを見分け、これらのことを1610年に出版して、世に伝えました。これがたちまちヨーロッパ中で話題となり、人々の宇宙への認識を大きく変えることになったのです。
その後もガリレオは観測を続け、太陽表面にある黒点の観測から、太陽が自転をしていること、金星が満ち欠けをしていることなど、数多くの発見をしたのです。
一方で、地球が太陽の周りを回っているという、地動説への支持を禁じられたりするなど、当時は考察を自由に述べられる状況ではありませんでした。また、ガリレオはすい星の正体を大気現象と考え、論争にもなりました。
ガリレオが望遠鏡を夜空に向けたことを出発に、現在の宇宙の理解へとつながっています。皆さんも、いろいろな「発見」をして宇宙をお楽しみください。
(郡山市ふれあい科学館 事業課 安藤 享平)
2009年7月28日 福島民友新聞 郡山版「世界天文年 宇宙の魅力」より