最近、いわし雲やうろこ雲といった秋らしい雲を見かけるようになりました。秋といえば、芸術の秋、食欲の秋、読書の秋といろいろありますが、夜空を見上げる秋というのも良いものです。そこで、今回は10月3日の「中秋の名月」(お月見)についてご紹介したいと思います。
お月見の様子 (C)GOTO
ススキや団子、芋などをお供えしてきれいな月を眺めるお月見。もともとこの風習は中国から伝わったものであり、平安時代に貴族の間で「月見の宴」が盛んに行われたのが始まりだといわれています。一方で、一般の間では、月に豊穣(ほうじょう)の象徴として収穫物をお供えする風習がありました。秋の収穫も無事に終わり、自然に対する感謝の気持ちを表した収穫祭と、中国から伝わった月見が融合し、現在行われる「中秋の名月」の行事の形になったといわれています。
さて、中秋の名月は別名「十五夜」というように、旧暦での8月15日になります。旧暦は正式には太陽太陰暦とも呼ばれ、月の満ち欠けをもとに作られた暦のことです。表を見てみると分かるように、旧暦は毎月同じ日付にほぼ月の形も同じになります。昔の人たちにとって日々変わる月の形は、日数を数える便利なものだったのでしょう。日本では明治時代初期まで使われていましたが、現在でも行事やお祭りなど、私たちの生活の中には深くかかわりがあります。
現在のカレンダーは太陽暦、すなわち地球が太陽の周りをまわる周期をもとに作られている暦で、日付と月の形は全く規則性がないのです。
カレンダーと月の形 (C)GOTO
上段が太陽暦(現在のカレンダー)
下段が太陽太陰暦(旧暦)
ところで、中秋の名月はやっぱり満月!!って…いえいえ。実は必ずしも満月ではないっていうこと、みなさんは知っていましたか?
新月から次の新月になるまでの期間、つまり旧暦の1ヶ月は約29.5日。ですので、満月となるのは1カ月の半分、およそ14.8日になります。新月となるのが遅い時刻だと、満月になるのは新月の日から16日目になることがあります。
さらに、月の軌道は楕円(だえん)を描いています。そのため月が地球に近い時は速く、遠い時にはゆっくり回っているため、新月から満月になるまでの期間が変わります。これらの理由から満月は1〜2日ずれることがあるのです。ちなみに、今年の満月も中秋の名月の次の日、10月4日です。
プラネタリウムでは、10月3日(土)にイブニングアワー「十五夜の月物語」と題して、中秋の名月の話題と秋の星空をたっぷりと紹介します。過ごしやすい秋の夜長。「月」を眺めて、風情を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(事業課 小野寺 基)
2009年10月1日 福島民報新聞 情報ナビ[たいむ] 「スペースパーク便り」より