左の図は福島県内での日食の見え方を表しています。欠け始めなどの時刻は、郡山市でのものです。場所により、時刻は少し異なります。
県内では、いわき市などでは金環日食が見られ、福島市や会津若松市などでは非常に太陽が細くなる部分日食となります。
【日食の時間帯(郡山市付近)】
欠け始め 6:22
食の最大 7:38
欠け終わり 9:07
郡山市付近での日食の全行程映像
(6:20〜9:10まで、WMV形式 9.4MB 2分51秒)
※映像はアストロアーツ社ステラナビゲーターver.8を使用して作成しました。
福島県の地図の上に引かれた青い線は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が予想した金環日食の北限界線です。これより北側(ピンクのエリア)では部分日食が、南側(黄緑のエリア)では金環日食が見られることになります。
この限界線は、南会津町から天栄村、郡山市を通り、南相馬市や相馬市を通って太平洋へと抜けています。いわき市や白河市など県内の南東部では金環日食が見られることが分かります。一方、福島市や会津若松市など、県内の北西部では非常に細い太陽が見られる部分日食となります。
また、限界線が通る郡山市や南相馬市などでは、場所により金環日食となる場所と部分日食になる場所とに分かれます。予報はあくまで予報ですから数qの誤差がでることは十分考えられます。この辺りでは、金環日食になるか、部分日食になるかは、実際に見てみなければ分かりません。そして、このような限界線付近では、望遠鏡などを使用すると「ベイリービーズ」と呼ばれる珍しい現象を見ることができるかもしれません。
月の形は完全な球形ではなく、表面は山や谷、クレーターなどがあり凸凹しています。このため、金環日食の欠け際ぎりぎりの際に、月の表面の谷間から光が途切れ途切れに漏れてくる様子が観察されることがあります。これが「ベイリービーズ」と呼ばれる現象です。
下の2枚の写真は、ベイリービーズの様子をとらえたものです。2枚ともほぼ同じタイミングで撮影したものですが、右側の写真は露出をあげて左側の写真で暗くて写らない太陽の光もとらえています。月が動くにつれ、ベイリービーズの光がキラキラと瞬いて見えることもあります。これは限界線付近でしかとらえることが難しい、とても珍しい現象です。
右の写真はカメラの設定を変えてたくさんの光をとりいれることで、リング全体が写るようにしたものです(露光量400倍)。リングのように写る太陽の右下にギザギザに見える光がベイリービーズです。
2002年6月11日テニアン島で撮影されたベイリービーズ 撮影: 塩田 和生 氏
[1] 非常に細い太陽がクルリと回転する!(県北、会津方面)
北限界線より北側の地域では、食の中心付近(7時38分ごろ)前後にかけて非常に細くなった太陽がクルリと回転していくように見られます。今回ほど太陽が欠ける日食はとても珍しく、見ていて面白い現象です。
[2] ベイリービーズが見えるかも!?(県中、相双、南会津方面)
北限界線付近の市町村では上で紹介したベイリービーズが見られるかもしれません。これは限界線付近ならではの楽しみです。もちろん [1]のように細い太陽がクルリと回転する様子も見ることができます。
[3] リングの太陽(県南、いわき方面)
北限界線よりも南の地域では、太陽がリングのような姿になる金環日食となります。
県内各地での中心食付近の映像を用意しました。7時20分から7時50分にかけての太陽の様子です。ぜひ、自分の地域と他の地域を見比べてみてください!
太陽の画像をクリックすると映像が見られます。(WMV形式 31秒)
7時20分から7時50分まで、中心食付近の様子です。
※映像はアストロアーツ社ステラナビゲーターver.8を使用して作成しました。
画像: 国立天文台 天文情報センター
予報はあくまで予報ですので、金環日食になるか部分日食になるかは実際に見てみなくては分かりません。そこで、日食を観察した結果を報告してもらい、どこまで金環日食が見られたのかを決めようという全国的なキャンペーンが計画されています。
今回は人口が多い地域を日食帯が通過していますので、たくさんの観察結果が集まれば、目で見たときの限界線を探ることができるはずです!これほどの規模で行われるのは初の試みとなります。
南は熊本、愛媛、香川、兵庫、そして京都、岐阜、長野、群馬、福島へと限界線はつながっています。日食は西から始まりますので、福島は金環日食を最後に見て”お見送りする”場所です。ぜひ、ご参加ください!
金環日食 限界線共同観測プロジェクト http://www.eclipse2012.jp/
【キャンペーン参加方法】
[1] 日食グラスなどで日食を観察
[2] 太陽がリングになったか、三日月のような姿だったのか観察結果を科学館またはキャンペーンのホームページに報告!
報告用紙(PDF 621KB)をダウンロードして、科学館にお寄せください。いただいた結果は、科学館からキャンペーンに報告いたします。
位置測定ができる携帯電話、スマートフォン、タブレット端末から観察結果を報告する際はこちら http://www.eclipse2012.jp/m/
左の図は郡山市内の限界線の様子です。3本の線は、それぞれ下記の予報によるものです。
赤い線:NASAによる予報
青い線:国立天文台による予報
緑の線:国立天文台 相馬氏・薩摩川内市せんだい宇宙館 早水氏による予報
それぞれ2km程度ずつずれています。この日食の予報のずれは、それぞれの日食予報の計算において、どのような値を採用しているかによって変わっています。例えば、[1]地球の自転の進みや遅れの補正、[2]月の位置の補正、[3]月の大きさの値などが異なります。
何度も記載していますが、あくまで予報であり、ずれる可能性はあります。また、日食グラスなどを用いて目で見た場合、数秒間金環日食になったとしても、リングがつながったと認識できないかもしれません。どうなるかは、実際に見てみないと分かりません!
上のファイルは、郡山市内の各小中学校での日食予報の一覧表です。日食の予報は3つありますが、ここでは国立天文台の予報を使用しています。各学校の緯度と経度はgoogleマップから読み取ったものです。それぞれの食の最大の時刻を掲載してあります。
予報で金環日食となる場所では、始まりの時刻と終わりの時刻も記載されています。また、最後に金環日食の継続時間があります。食の最大の時刻のみ記載してある学校は部分日食になるという予報です。
市内の学校で最も長く金環日食が継続するという予報が出ているのは田母神小学校で2分35秒間、金環日食となります。逆にもっとも短い金環日食の継続時間は大槻小学校の20秒間という予報です。皆さんの家の近くの学校は、どんな予報でしょうか?
緯度と経度が分かれば、自分の家でどう見えるのか、予報することができます!NASAや国立天文台のサイトで実際に調べてみましょう!
★国立天文台 暦計算室のページ http://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/eclipsex_s.cgi