【天文現象紹介】2012年5月21日 金環・部分日食 in ふくしま

 2012年5月21日(月)には、日本全域を含む広い範囲で日食が起こります。なかでも、日本の人口のおよそ3分の2(約8千万人)が居住する九州南部・四国の大部分・紀伊半島から関東付近にかけた帯状の地域では、太陽がリング状に輝く「金環日食」が起こります。また、日本のその他の地域でも太陽が大きく欠ける「部分日食」となります。

 この日食は、午前6時すぎに始まり、午前9時すぎに終わります。日本での金環日食は1987年に沖縄で見られて以来25年ぶりであり、東京で金環日食が見られるのは1839年以来173年ぶりとなります。日食が近付くにつれ、全国的に話題となっていくことでしょう。

 ただし、太陽を直接見ることはとても危険です!日食を見る際には、ここでご紹介する「安全な観察方法」などを確認して、貴重な天文ショーをぜひお楽しみください!

●日食の危険な観察方法と安全な観察方法

●福島県内での日食の見え方

●オリジナル日食観察キット「ソーラースコープ」

●【募集】ふくしま日食観測隊 (4/28〜5/20)

日食の種類としくみ

 日食とは、月によって太陽が隠される現象です。太陽の一部が隠される場合を「部分日食」、太陽がリングのような姿になる場合を「金環日食」、太陽がすべて隠される場合を「皆既日食」といいます。日食は、見る場所によって、太陽の欠け方や日食が始まる時刻などが変わります。


部分日食
撮影: 郡山市ふれあい科学館


金環日食
撮影: 塩田 和生 氏


皆既日食
撮影: 塩田 和生 氏




 この図は月の影が地球上に落ちる様子を表したものです。(太陽や月、地球の大きさや距離などは実際とは変えてあります。)

 地球から見た月の見かけの大きさは、地球と月の間の距離によって変化します。地球から見て太陽と月がちょうど重なるとき、月のほうが太陽よりも小さければ、太陽の縁がリングのように見られる金環日食となり、月の方が大きければ、太陽が全て隠される皆既日食となります。

 地球から見て、太陽と月が同じ方向にありますので日食がおこるときは必ず新月です。ただ、月が地球の周りをまわる軌道は少し傾いているため、新月のときに必ず日食が起こるわけではありません。

日食Q&A

 Q.前回日本で見られた金環日食
 A.1987年 (沖縄)

 Q.次回日本で見られる金環日食
 A.2030年 (北海道)

 Q.前回日本を縦断した金環日食
 A.1080年

 Q.次回日本を縦断する金環日食
 A.2312年

 Q.前回福島で見られた金環日食
 A.1883年

 Q.次回福島で見られる金環日食
 A.2386年 (県内では、金環日食になる場所と部分日食になる場所があります。)

 Q.前回日本で見られた皆既日食
 A.2009年 (県内では部分日食でした。)

 Q.次回日本で見られる皆既日食
 A.2035年 (北関東などで皆既となります。県内では98%ほど太陽が欠ける部分日食です。)

金環日食の見え方


2010年1月15日
ミャンマーで撮影された金環日食の様子
撮影: 塩田 和生 氏


2002年6月11日
テニアンで撮影された金環日食の様子
撮影: 塩田 和生 氏



金環日食中の太陽の写真
撮影: 塩田 和生 氏

 
 金環日食の際のリングの太さは、毎回異なります。これは地球と月の間の距離が変わるため、月の見かけの大きさが変わるためです。

 上の2枚の写真は、それぞれ2010年と2002年に撮影された金環日食の写真です。2010年にミャンマーで見られた金環日食の方が、リングが太く金環日食の状態も長く続きました。

 今回の金環日食は、この2つのリングのちょうど真ん中くらいの太さになると予想されています。ただし、これは金環日食帯の中心付近の場合です。県内では、月は太陽の斜め下付近を通過していくように見えます。

 このような写真は、カメラに濃いフィルターを取り付けることで太陽の光を減光して撮影されています。

 左の写真は金環日食の最中に撮影されたものです。明るい光芒の中に太陽が隠れています。周囲の見え方はまったく変化がなく、普通の昼間のような光景が広がっています。

 たとえ、金環日食中であっても、太陽は非常に明るく、周囲の明るさもほとんど変わりませんので、太陽を直接見ることは大変危険です。


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