郡山市ふれあい科学館では2023年12月3日(日)に、第40回 星の講演会「木星氷衛星探査計画JUICE -ガニメデの地下には海がある?-」を開催しました。

 今回は、JAXA 宇宙科学研究所教授 齋藤 義文先生にお越しいただき、木星氷衛星探査計画JUICEのミッションや探査機についてお話いただきました。

 

 JUICEの探査計画はESA(欧州宇宙機関)が主導するプロジェクトで、国際協力のもと行っています。その中での日本の役割や探査機に搭載している観測機器に日本がどのように関わっているのかなどをご紹介いただきました。

 探査機JUICEは今年4月に打ち上げが成功し、現在木星に向かっています。到着は2031年の予定で何年も先となりますが、今回参加いただいた小・中学生が大学生や大人になったころには探査データが届いていることになります。さらに大きくなったその子どもたちがデータを解析しているかもしれないと思うと、長い年月がかかるミッションも次の世代へ繋ぐ宇宙探査のタイムカプセルといえるかもしれません。そのような次世代への想いなどもお話しいただきました。

 今回探査を行う氷衛星のうち、ガニメデにスポットを当て、どのような構造やしくみをしている衛星なのか、内部に海はあるのかなど、興味深い衛星の姿をご紹介いただきました。

 また、現在考えられている内部のしくみを、今回は先生ご持参のアイテムを用いて実験的にご紹介いただきました。衛星の内部で摩擦熱が発生するしくみについて、柔らかいステンレスたわしを擦ることで温度が上がる様子を皆さまにご覧いただきました。ほかには探査機を覆う何層にも重ねたシートもご紹介いただきました。

 先生のご専門である磁場やプラズマ研究の視点からお話しいただく中で、ガニメデとオーロラというキーワードも大変興味深く、参加者の方からは、ガニメデにオーロラや海が存在する可能性があると今回知ることができ、ガニメデがいままでよりももっと身近な天体になりました。との感想もいただきました。

 さらに講演後に個別にご質問される方もおられ、先生に丁寧にお答えいただき、ご講演後も参加者の皆さまにとって充実した時間を過ごしていただきました。

 齋藤先生、ご参加の皆さま、ありがとうございました。