2025年12月13日(土)に、第42回 星の講演会「X線とガンマ線で宇宙をのぞく・生命をのぞく」を開催しました。
今回は、福島国際研究教育機構(F-REI)より武田伸一郎先生にお越しいただき、X線やガンマ線といった目に見えない光をとらえるための装置開発やそれを応用した医療分野についてお話しいただきました。

今回のタイトルにあるX線やガンマ線は、電磁波(光)の中では波長の短い光で、エネルギーの高い領域です。また、可視光とは違って私たちの目では見えない光です。なかなかイメージしづらいX線やガンマ線ですが、アニメーションや実験を通して分かりやすくご講演いただきました。
電磁波は波でもあり粒子でもあります。波長が長いほど波の性質が顕著に現れ、波長が短いほど粒子としての性質が現れます。そこで、そのような光の性質を知るための実験をしました。波の性質を見るために電磁波の中でも波長の長い電波を例にラジオを使い、粒子の性質を見るためには波長の短いX線を例にピッチブレンドというX線を出す鉱物に検出器を当てて、参加者のみなさまに光の性質や波長の違いをイメージしていただきました。

先生の学生生活の様子やこれまでの研究についてもご紹介いただきました。「ASTRO-H(X線天文衛星ひとみ」」に搭載する装置を大学生時代に開発していたお話は大変興味深く、参加されていた方もわくわくされたのではないでしょうか。また、学生の方や小学生の子どもたちにとっては夢のあるお話だったと思います。
現在、先生が進められているプロジェクトに、大気球実験プロジェクト「SuperHERO」があります。これは、X線の中でも波長の短い硬X線の領域での天体観測の実現を目指すものです。搭載する装置を打ち上げるのは東京ドームの大きさにもなる気球で、さらにNASAとの共同プロジェクトでもあります。そのような今後注目の大規模なミッションについても今回ご紹介いただきました。
さらには、これまでの宇宙を見るための装置開発の技術を応用した創薬や医療のお話もしていただきました。「がんを見つけるための今の技術には、あのマリー・キュリーも驚きなのではないか」と歴史も交えたユニークなお話も印象的でした。

質問タイムでは、X線観測の始まりについての質問がありました。「世界で初めてX線をとらえたのは今から約60年前」ということや、「それをとらえたのは2002年にノーベル物理学賞を受賞したジャコーニ博士で、X線の観測装置を宇宙に上げたのが始まり」と先生からお答えをいただきました。イベント後も含め、みなさまからはさまざまな質問をいただき、丁寧に答えていただきました。
また、ホワイエではF-REIメンバーによるブース設置をし、F-REI紹介のパネルや動画でF-REIをよりみなさまに知っていただきました。福島県の浪江町にある研究機関ですので、ぜひみなさまもこれからのF-REIにご注目ください。
イベントの途中では映像が出ないトラブルが起き、参加者のみなさまには大変ご迷惑をおかけいたしました。改めてお詫び申し上げます。
武田先生、ご参加のみなさま、ありがとうございました。








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