郡山市ふれあい科学館では、2023年7月1日(土)に国立環境研究所福島地域協働研究拠点との連携により、連携講座「標本をつくって知る、身近な虫たち」を開催いたしました。

 講師には、同研究所の吉岡 良明 先生、JO Jaeick 先生、石井 弓美子先生をお迎えしました。

 

 まず、吉岡先生から、昆虫標本が何のために作られるのか、どうやってできるのか、お話しがありました。

 昆虫標本は、昆虫のカラダを詳しく観察し、細かい種類を見分けたり、どんな暮らしをする昆虫なのかを調べたりするためにあるそうです。昆虫研究には欠かせないものなのですね。

 さて、その標本は、通常、昆虫採集後、必要なポーズで固定するために、殺虫→軟化→展足→ラベルつけ→標本箱に入れる という多くの工程と時間を経て作られます。また、管理も細心の注意が必要になるそうです。虫が大好きな参加者の方は、普段見ている美しい昆虫標本の繊細さと奥深さに感心しているようでした。

 次にいよいよ講座のメイン「標本づくり」を行いました。今回は、手軽に制作・管理できる「樹脂標本」づくりに挑戦していただきました。

 まず、JO先生に作り方を楽しく丁寧に教えていただきました。標本にする「ハムシ」は、植物の葉などにくっついて暮らしている小さな虫たちです。小さな虫の脚が折れないように、シリコン型に入れ、位置を爪楊枝で調整し、UVレジン液を少しずつ垂らしていきます。その後、気泡を爪楊枝でつぶし、UVライトで固めて完成です。

 参加者の方は、きれいな樹脂標本をつくるために真剣な表情で慎重に作業を進めていました。完成品はまるで宝石のようにきれいなもので、その後の顕微鏡での観察でも、「かっこいい写真が撮れた」と大満足でした。

 その他、先生方には、レジンを固める待ち時間の間見ていただく、生きた昆虫たちやめずらしい昆虫標本の展示ブースを設置していただきました。こちらも大人気で、好きな昆虫を食い入るように見ている様子が印象的でした。

 また、最後の質問コーナーも盛り上がり、標本をつくる際につけるラベルの重要性や、正式な作り方もお話しいただきました。

 楽しみながら、本格的な標本づくりと昆虫研究への第一歩を踏み出せるような講座となりました。本日のために丁寧に準備を進めていただいた吉岡先生、JO先生、石井先生、本当にありがとうございました。