[4] 振り子の科学(上)

2002/08/07


 

 手をふれずに思いのままに物を動かすことができるでしょうか。そんなことができたら超能力ですよね。今回はこの超能力に挑戦してみましょう。
 まず、割りばしや菜ばしなどの棒に長さの異なる三本の糸を結んでおもり(フィルムケースや五円玉がいいと思います)をぶら下げ、三種類の振り子を作ります(写真)。 さて、三つの振り子をつけた棒の両端を持ち、このうちどれか一つだけおもりに手を触れずに動かすことはできますか。実はできるのです。まずはこの装置を作って挑戦してみて下さい。何の説明がなくても十人のうち、一、二人はできるかもしれません。でも、なぜ全部の振り子が動かずにひとつだけ動くのでしょうか。


棒にぶら下げた長さの異なる振り子

 

 ひみつは振り子の性質にあります。振り子は糸の長さによって、振り子が往復する時間(周期)が決まります。おもりの重さは関係ないのです。ですから糸の長さが異なると、周期が変わるのです。
 それでは方法を説明します。まず目の前の振り子をよく見てみましょう。それぞれわずかですが、少しゆれているのが分かるでしょう。そのゆれに合わせて、手や体をゆらします。すると、その振り子だけ大きなゆれになってきます。このように一定の周期で体をゆらしたとき、その周期と同じ振り子がゆれる現象を共振といいます。
 また、ひとつの振り子だけを確実に共振させるには、振り子の長さを明確に異なるようにしておくことが必要です。少ししか長さが違わないと難しいですよ。
 ちなみに、振り子の長さを全部同じにしてみて下さい。振り子の周期はすべて同じことになりますから、一つだけを動かすことはできなくなります。

 次回は応用実験と、この実験がどんな問題と関係があるのか紹介します。
 

(展示情報係 岡田 努)

 

2002年7月25日 福島民報新聞 「スペースパークで挑戦 夏休み!科学実験」より


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